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船の到着が予定より遅れてしまい、ボルサリーノは彼には珍しく廊下を早足で進んでいた。ちらりと腕時計を見ると、会議が始まってからいくらかたっている時間だった。サカズキあたりに怒鳴られそうだなァ、などと思いながら角を曲がると、会議室のドアの横でしゃがみこんでいる人物に気付いたボルサリーノは思わず顔をほころばせた。

「オォ〜ヤコウ、どうしたんだいそんなところでェ〜」
「あ!ボル先生おかえり!」

ヤコウと呼ばれた少年はぱっと顔を明るくするとボルサリーノの元に子犬のように駆け寄る。

「あのねえ、サカ先生にマテされたから外でクザンのこと待ってるの」
「オォ〜偉いねえ〜ご褒美にわっしがお菓子あげちゃお〜ねェ〜」
「わあ!ありがとう!」

ヤコウは、にこにこと顔いっぱいで笑いながら彼からお菓子を受け取る。しかしすぐにパッケージを開けるかと思いきや、うやうやしくポケットにそれを仕舞いこんだのでボルサリーノは首をかしげた。

「うん〜?今食べないのかィ〜?」
「うん。あとでクザンと半分こする」

そう言いながら、ポケットにそっと手を入れお菓子の存在を確かめると嬉しそうに微笑むヤコウの様子が、あまりにもいじらしくてボルサリーノは彼の頭をわしわしと撫でてやる。ヤコウが頬を真っ赤にして喜ぶので、彼を撫でる手の平にますます力が入った。


一年前から海軍本部見習いになったヤコウは、ある日任務帰りのクザンが小脇に抱えてきた少年だ。
気絶しされるがままになっている見知らぬ少年の存在をサカズキに咎められた時、討伐した海賊船の座敷牢に繋がれていたのを発見したとクザンは答えた。怯えて暴れて仕方なかったので気絶させて保護したのだとも。

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