ピリオドが打てない






スマホのホーム画面に、着信履歴の通知がぼんやり光る。それを一瞥したサンジは、着信相手が誰かに気付くと思い切り顔を顰めた。

「エース。てめェ、まだあのクソ野郎と続いてんのか?」
「あー、まあ……」
「前も言ったろ。あいつはやめとけ。ろくでもねェよ」
「そんなこと、わかってる」
「わかってねェだろ」
「わかってるよ」

でも。ただ、俺の片思いなんだ。そう言い切ると、目の前の男は眉毛をこれでもかっていうくらいハの字にしてみせた。
しかし、ろくでもないとは、どのことを指しているんだろう。ヤコウが、おれの誕生日をすっぽかして好きな人の飲みの誘いに行ったときのことだろうか。それとも、行為の最中に俺の名前じゃなくて好きな人の名前を呼んだときのことだろうか。あれは本当に堪えた。それも一度や二度じゃないんだから呆れてしまう。
サンジに別れを告げると、俺は足早にヤコウの店へと自転車をこいだ。たった一通のLINEがくるだけで、こんなに身軽になってしまう自分が少し情けない。もう日が落ちてひんやりとした風を頬に受けながら、先ほどサンジに告げた言葉を繰り返してみる。

ただ、俺の片思い。

そう分かっているのに、名前を呼ばれると震えるくらい嬉しいし、触れられると泣きそうになる。もう、どうしようもないくらい、俺の中はあいつのことで埋め尽くされてる。
今夜もお前は、他の奴を想いながら俺を抱くんだろう。最低だ。そうと知りながら自ら彼に抱かれに行く俺は、もっと最低だ。
ヤコウの店に着くと、表の明かりはもう消えていた。いつものことなので駐車場に自転車を止め、裏口へまわる。扉を5回ノックすると、最低な男のとびきり綺麗な笑顔が迎え入れてくれて、その顔に思わず胸が跳ねた。

「待ってた」

その一言に、なんだか涙が出そうになるのをぐっと堪えた。
違う。こいつがずっと待ってるのは本当は、俺じゃない。頭の隅で冷静な自分が諭すのを聞きながら、俺はドアへと吸い込まれた。


***


現パロで、下半身ゆるゆる下衆の極み系主人公と、そんな主人公に呆れながらも恋しているエース。
高校生のエースは、同じクラスのサンジにすすめられて行ったヘアサロンで担当してくれた主人公に一目ぼれ。
「今まで女としか付き合ったことなかったけど、俺男でもいけるんだなァ」とかついつい声に出しちゃってしかも思い切り主人公にも聞かれちゃう。しかも「じゃあ付き合っちゃう?」とか言われてエースびっくり。
「でも、おれ。好きな人いるけどいい?」とか最悪なことさらりと言う主人公にもめげず付き合うことに。

次の日サンジに伝えるとすっげーいやな顔されて「あいつだけはやめとけ」とか言われる。本命がいるくせに男女構わず誘われるがままにセックスする最低野郎らしい。まじか。でもどうしようもなくかっこいいし優しいし、まっすぐなエースはすぐにはまってしまう。
主人公は店を一人で切り盛りして実質店長なんだけど、実はいくつものヘアサロンを経営しているオーナークロコダイルの愛人でお店はいわば別宅。ある日エースが主人公に会いに店休日のお店に行ったらうっかり鰐さんと主人公の行為を見ちゃったりね!かわいそう!

ついにエースがあきらめようとしたときに、ようやく主人公がエースへの愛に目覚めてハッピーエンドになってくれたらいい。
それにしてもワンピ界の男子でヘアサロン詳しそうなのサンジくらいしか思いつかなかった…でもエースとサンジってなんか組み合わせ的に丁度良いですよね。(?)
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