あやかしやこう8





「お前、飲んでるのか?」

寝入り端を乱暴なノック音で台無しにされたエースは、ちょっと不機嫌そうだ。

「ちょっと、ね」

エース、一緒に寝てよ。と言えば、いいよ。とあっさり返ってくる。こいつ、絶対わかってないな。
もともと欲求不満なのに、良い場面でお預けまで喰らってしまって、俺は大変不満だった。任務に必要なことは大体惰性で習うんだけど、やっぱり気持ちいいことは好きだ。

さっさと寝ようとベッドに腰掛けるエースの顎を引き寄せ、触れるだけのキスをする。まだ眠いのか無反応なことをいいことに、今度は少し深く口付ける。上唇と下唇を啄むと、少し開いた口に舌を割り入れる。歯列をなぞるようにした後、くちゅりと舌を絡ませた。顔を離すと、驚きのあまり覚醒したのか目を溢れんばかりに見開くエースがいた。

「エース」

甘いものをたっぷり含ませて彼の名前を呼び、少し上目遣いに顔を覗き込む。途端に頬を赤らめるエースを見て、こういうわかりやすい奴は好きだ。そう思って目を細めた。

「なっ…」

狼狽するエースなんてそっちのけで、熱を集める耳朶を少し食むと、ふるりと震えるのがわかる。耳の中を舌で少しねぶってから、吐息のような言葉を吐く。

「寝るって、こっちの意味で」

俺を見るエースの目には、困惑しながらももう期待の色が滲んでいてこっちまでぞくぞくしてしまう。ベッドに腰掛けるエースのひざに跨ると、首に腕を絡ませまた深く口吸いをする。今度はエースの舌も応えるように動いて、くぐもったような息が二人分こぼれた。
キスをしたまま片手でエースの下腹部に触れると、その腰がひくりと跳ねた。エースのものは少し立ち上がっていて、その事実に俺はさらに興奮する。

「エース、もうたってる」

わざと耳元で囁いて、布ごしにやわやわと形を確かめるように触ってやると、張り詰めたような息が漏れた。そのまま体重を彼に預けるようにすると、エースの体はあっさりベッドに沈む。顔を覗き込むとすっかり欲に濡れた目をしていた。

「な、エース。しよ」

了承の言葉はなかった。
代りに俺の体はぐるりと反転され、波打つシーツに縫い付けられる。がぶりと、獣が噛み付くようなキスをするエースにきつくきつく腕を絡ませた。



エースの硬く反りたつそれを、根元から先まで丁寧に舐めていく。睾丸を喰むようにするとつらそうな息が漏れた。ふと上を見上げると快楽で震えながらもどんどん目がぎらついていくエースの顔があって、思わず体の奥がきゅうっと疼く。
指で輪をつくり幹をしごきながら、俺は腰をあげて片手で自分の後ろの準備に取り掛かる。早く、早くこれがほしい。

「あっ…、ん…」
「ヤコウ、えっろ…」
「ふふ、そそる?」

エースがごくりと生唾を飲み込んだのを見て、笑みを浮かべる。自分でいいところをこすりながら徐々に指を増やしていく、もうそろそろいいかもしれない。指を穴から引き抜くと、エースの上で腰を持ち上げ、ゆっくりを腰を下ろしていく。久々の異物感に体にぞくりと鳥肌がたった。

「んっ、エースの…おっきい…っ」

気持ちよくて頭がぐずぐずになりそうだ。わざと挑発するように、エースを見つめながらゆるゆると先端を出し入れしてやると、下から腰を打ち付けてくる。突然奥まで襲われた快感に頭がとびそうになった。

「っああ!」
「わりっ、我慢できな、い」

腰を突き上げながらも、エースが切なそうな声をあげる。それがなんだかかわいらしくてその薄い唇に口付けると応えるように舌が絡み付いてくる。エースと自分を追い詰めるために腰を大きくグラインドさせると、中の質量がどんどん増していくのを感じた。

「エー…スっ、…っあ、あ、きもちい、っ」
「おれも…っく、」

エースの熱が前立腺を抉ってくる、そろそろ限界だ。エースの性器がびくびくと飛び跳ねるのを感じながら、俺も達してしまった。

肩で息をしながらしばらく吐精の余韻に浸る。同じように息のあがったエースの、額に汗で張り付いた髪の毛を優しく指で梳いてやると、ぐったりしていた彼は俺を見上げてへらりと笑いかけた。

「やべえ、すげーよかった」
「だろ。気をつけないと女、抱けなくなるから」

髪をかきあげ嫣然としてみせると、それは困る、なんて真面目な顔で悩みだすエースに先ほどの野蛮さはなく、そのギャップについつい声をあげて笑ってしまった。
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