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  58.5*


待って、と言う言葉は全部飲み込まれた。

さっきより更に深く、長いキスは私の思考を停止させてしまうのには十分で、その間にちゃくちゃくと服に侵入し、どんどんと服を脱がせていく右手を止めることなんて出来ない。

「っ、は…しゃ、んくす」
「綺麗だ… ニナ」
「っや、…見ない、で」

窓際に座ったのは失敗だった。カーテンもないその席は月明かりに照らされて何もかもが見えてしまう。必死にシャンクスの目を両手で塞ぐも、手のひらをべろりと舐めあげられてそれすら餌となってしまうのだと後悔した。

「優しくは、出来ねェ」
「だ、だめって…ひっ」

そのまま両手は頭上に固定されてしまい、それこそ抵抗なんてもう出来なくなってしまった。先程まで私の舌を捕らえていた唇が首筋、鎖骨、胸へとキスを繰り返す。と、そのまま食べられた先端。ジュッと厭らしい音をたてながら吸い上げられ、舌で転がされる。制することも出来ない私は、ただ声を高鳴らせて体を跳ねさせた。

「あァ、ニナ…可愛い、」
「や、ッ…そっち、…あァッ!」
「ふ、どろどろだ」
「そな、こと…ッや、あんっ」

言われなくても、自分でわかってる。
久しぶりの行為に、彼でない人に、期待をしてしまっている自分がいることも。彼ではない舌がそこを舐め上げ、快楽に堕とそうとしていることも。

「ぁ、あッ、は…ァっ!」
「、溢れてくる…やらしいな…」
「ち、がっ…」

違くはないだろう、と言いながらそこに少しゴツゴツした指が挿れられる。その時にようやく、両手が解放されていた事に気がついた。

「……抵抗、もうしてねェもんな」
「、ッ は、ァあっ!」

ぐちゅ、と水音をたてながら抜き差しを繰り返すその指は更に1本増やされて、質量を増していく。ぐいっと押し曲げられたその指先が、私の好きなところを確実に捕らえていて、離さない。

「ココがいいのか?」
「っ、しゃん、ッあ、やあ!」
「っ…こんなことならもっと早く、」

ずるりと引き抜かれた指に微かに寂しさを覚えたその刹那、その倍以上のものが深く押し入られて、身体に電流が走る。いきなり奥まで入れられ、達してしまった身体が、びくびくとそれを締め付けた。

「ッひ、あァっ!!」
「……こうすりゃよかった、」
「あ、ぅっ…ン、あ!」
「ああ…、気持ちいいなァ、ニナ」
「やっ、しゃんく、ッす!あ、あっ」
「っ…… ニナ…」

遠慮なんてない。余裕なんてものは、ありはしない。それが分かるくらい、熱く、硬くなったシャンクスのそれが1番奥をぐりぐりと抉るようにして、腰を突き動かす。肌と肌がぶつかり合う音が2人しかいない部屋に響いている。挿れられただけで達していた私は、もう身体の快感を止めることは出来ない。

「や、っ…やっ!また、いっ、ちゃ…ンぅ!」

律動の激しさに押し寄せる波に抗えず、再度達してしまった。

「っ、だめ…もう、止め…」
「止めていいのか」
「…っ、や…」
「いいのか?」

肩で息をしながらぷるぷると震える手でシャンクスを静止しようとするも、それもまた舐め上げられ、腰がゆるゆると動き出す。先程まで1番奥を突き上げられていた体は、その中途半端なものでは、足りない、足りないと訴えている。でも、止めなきゃ、と必死に戦う理性が私の頬を涙で濡らした。
ちゅ、とそこに口付けられてその僅かな優しさにほっとしたのもつかの間、腰をぐいと起こされて四つん這いにされた後ろからずぷんと、最奥目掛けて突き上げられた。

「ああッ!!、ひ、ぅ……」
「…は……なァ、いいのかって…」

背後からのしかかってくる体重が、奥まで入り切ったそれを更に押し付ける。ぐい、と押し上げられ、また理性が無くなっていく。
右手が顎を引き寄せて、舌を絡め取られる。
その間も休みなく、ただ、激しくする事はなく、ゆるゆるとした刺激を続けられる下腹部は、疼きが止まらない。

「ン、はっ……は、ァ…」
「ニナが、これ以上止めろというなら、止める」
「そん、な……の…っ」

ずるい、
もう、私は、

「ニナ、っ」
「、あああッ!!」

名前を、呼ばれると同時に、また1度だけ強く突き上げられたそこは、再び達してしまった。ベンチの上に上半身は力が入らずくたりと伸び、痙攣する身体。そこに追い討ちをかけるように、シャンクスは耳元で囁いた。

「時間切れだ」









確信犯










全部、分かってるくせに


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2022.8.6 ONEPIECE FILM RED 公開記念

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