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コアラに、エースくんからLINEが来たことは報告をして、今日は遅くならないうちに帰るようにした。(ちなみにコアラは大騒ぎしてた)昨日みたいな目には合いたくはないし。家についてから、もう一度LINEのトーク画面を見ると、やっぱり夢ではなくて、ちゃんと会話をしている記録が残っている。と、その時、規則的な音楽がスマホから鳴り出して、着信を知らせる。画面を見ると、連絡をとっていたサンジだ。

「ニナ、説明しろ!」
「えっと、いろいろあって」
「説明になってねェよ!何でお前が、有名人のアイドルと知り合いになって、しかもうちに飯食いに来ることになるんだ!」

ひいい、サンジが怒ってる。スピーカーから聞こえる怒ったサンジの声にビクつきながら、昨日の経緯を説明した。
そもそも、私みたいなしがない高校生が、そんないいお店をたくさん知っているわけでもなく。ぱっと思い浮かんだのは、幼なじみのサンジのお家の店、”バラティエ”だ。オシャレだし、美味しいし!そこで、ちょうど学校で連絡が来ていたサンジに、そのままエースくんと行っていいかと連絡をしていたのだ。サンジはため息をついてから「わかった」と呟いた。

「…とにかく、お前が無事ならいい。幼なじみを助けて貰った礼だ。うちに連れてこい。クソジジイにも話しておく。」
「ほんと!ありがとう!サンジ大好き!」
「っ、な」
「じゃあね!エースくんと連絡とる!」
「ちょ、オイ───」

赤い通話終了ボタンを押して、覚悟を決める。サンジにOKを貰えたなら、大丈夫だ。私は深呼吸をしてから、トーク画面を切り替えてエースくんにまた連絡を入れた。


『バラティエ?』

『はい!』
『私の友人のお家で』


『へェ。わかった』

『土曜日、大丈夫なんですか?』


『あァ、18時からなら空いてる』

私はエースくんとやりとりをしつつ、うーんと唸った。問題は彼をどうやって安全に連れていくか、だ。最初こそ気づかなかった私だけれど、多分ファンの子達ならきっと立っているだけでも気づいてしまうオーラがあるんだと思う。かっこいいし。

『上手くやる。心配すんな』

『そう、ですか?』


『おう!』
『じゃァ、また土曜日』

『はい!』


『楽しみにしてる』

最後にポンと送られてきた言葉に、少し自分もワクワクしてしまった。たまたまだけど、まさか人気アイドルとご飯に行くことになるなんて。と、改めてベッドの上で転がりながら考える。サンジに「値引きよろしくね」と、LINEをしてから私はその日、眠りについた。




それが、3日前の出来事…なんだけど。

「あ。」

いた。すご、い。普通にいる。
騒ぎになるわけでもないし、全く別人みたいに変装しているわけでもない。ただ、いる。(前に違うアイドルの子がふつーに街歩いてる方が気付かれないって言ってたけど、ほんとなんだ)ちょっとだけ、髪型違うかな?前回サングラスしてたけど、今回はなんならしてない。ええ。これで騒ぎにならないんだ…すごいな。けれど極々小さな声で。

「エース…くん」
「お、よぉ」
「ふ、普通にいるんですね」
「心配すんなって言ったろ」

ニッと自慢げに笑うエースくん。うん、やっぱりイケメンなんだなと実感。行きますか、と私はビクビクしながら歩き出す。バラティエの近くに待ち合わせしてよかった。

「アンタ、高校生?何年?」
「えっと、高校2年です」
「じゃあ1個下か…敬語とか使わなくていーぜ」
「え!?い、いやいや大丈夫…です」

恐れ多すぎます、と肩をすくめると、エースくんはなんだそれと笑って「まあアンタが決めていいよ」って言った。バラティエに着く、というところでエースくんがぐっと距離をつめて隣に並んできたことにびくりとする。

「挙動不審すぎ」
「だっ、て」
「ふ、くくく…変な顔してる」

高い身長のエースくんを見上げるとほんとうに楽しそうに笑っていて、何故かほっとした。「楽しみ」と、昨日言ってくれていたから…。楽しんでくれそうで、よかったと思っていた。けれど、バラティエに着いてからは、終始驚かされていた。(サンジがちゃんと個室を用意してくれていて、安心した)
まず、食べる量。すっっっごく、食べる。食べたものは何処にいってるの?と疑っちゃうくらい。(筋肉はありそうだけど、細いのに…)食べ方も豪快さがあって、美味しそうに食べるなあと見ていられる。(CM来る、これは)お話することは、ほとんどグループの2人のこと。サボくんと、ルフィくん。本当に仲良しなんだと思った。
そして、今日1番は

「っローさんとお友達なんですか!?」
「おう」
「ルフィくん、だけじゃないんですね」
「1番仲良いのがルフィだな。まァ、仲良いってか一方的に構ってるんだと思うんだけどな。」

まさか、まさかまさかエースくんとローさんもお友達だなんて。ドキドキと嬉しくなる。凄いな。有名人って、本当に存在してるんだと実感する。そんなじんわりと喜んでいる私を、黙って見つめていたエースくんが、「トラ男のことは知ってんのな」と呟いた。(トラ男…ルフィくんもそう呼んでたな、番組で…)

「えっ」
「俺のことはよく知らなかったくせに」

むう、と口をへの字にして不貞腐れたようにするエースくん。そんな彼にキョトンとしてしまう。

「でも、エースくんのことはもう”よく知らない”わけじゃないですよ?」
「?なんで」
「だってこうしてご飯食べて、お喋りしているんですもん。ローさんとは会ってもいないです。だから、今はエースくんの事の方がよく知ってます」
「……ふうん」

口元に頬杖をついた、短い返事。私は何だか止まらなくなってそのまま話し続ける。

「それに、今日沢山分かったんです。エースくんが素敵な人だって」

だから沢山応援するファンがいるんですね

そう笑うと、今度は、エースくんが目を丸くしてキョトンとした顔をしてしまった。そしてから、はあぁと深いため息をつきながら頭を抱え込んでしまった。「え?え?」と心配する私を裏腹に、エースくんはガタンと立ち上がる。そして腕を掴まれてそのまま会計へ。って、お礼なんだから私が払わなきゃなのに!

「奢れとは言ってねェ」
「で、でもお礼」

「………十分、貰った」








夢見心地








そんな気分

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