×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



  40



キラーに相談して、島から採ってきたポーチュラカを花瓶に入れてあげて、根ごとのものは鉢に植えてあげた。「これで数日はもつはずだ」と、キラーは優しく教えてくれた。寝起きに使わせて貰っている部屋で、窓からの光にキラキラと輝く花瓶とポーチュラカを見つめる。とても綺麗。
あと2日くらいのはずだから。
この我儘が今後どう働くかはわからない。サボにも、カクさんにもスモーカーさんにも…多くの人と会ってしまったから。…またCP0が動くかもしれない…。それでも、この我儘を通させて貰ったのは私自身。…ローも分かってくれるはず。きっと。

「考えすぎだぞ」と脳内でエースが笑った気がして、ふう、とため息をついた。考えすぎは悪い癖だ。またドヤされてしまう。
なんて考えていると、部屋にノックがなる。はいと返事をしてドアの方を見ると、入ってきたのはキラーだ。

「キッドとは大丈夫か」
「…大丈夫、とは言いきれないけど」
「…すまない」
「キラーが謝っても仕方ないよ」

頭を抱えるキラーは、つくづく苦労人のように思う。(ペンギンみたいな立場なんだろうな)花の様子を聞きに来たというキラーとしばらく話し込む。キラーは、キッドの相棒だとは正直思えないくらい、優しい人だと思う。海賊とも思えない。…もちろん、戦うこと、人を殺すこと、あるのは分かっているけれど。

「そうは…見えないんだよね」
「ん?」
「ううん。でね、私この花をね…」







俺に嬉しそうにこの花の話を続けるニナを見て、先程のキッドとの一コマを思い出す。"もう少しで押し倒します"という瞬間だったことに安心した自分がいた。もう少しでも遅ければ、キッドに……と考えると、不意にモヤモヤとした気持ちになる。
その気持ちの名前を、俺は知っているから尚更。

数日一緒にいただけだ。たった数日。それなのに。
ただ海を静に見つめる彼女。クルーと笑い合う彼女。泣きそうな顔の彼女。頬を赤らめる彼女。いろいろな姿が目に浮かんでは、心が暖かくなる。初めて会った日、キッドが無意識に惹かれる彼女に興味をもっていたが、ただそれだけだった。…のが、俺もこんなに…

「虜にされましまった」

部屋から出て、ニナがいる部屋のドアを数秒見つめる。この気持ちは、恐らく表沙汰にしてはいけないことを加味しながら。なんといっても、彼女は"死の外科医"トラファルガー・ローの恋人というのだから。決して、奴にも負ける気はないとはいえ、キッドが"そう"である以上、すでに争いは避けられない。…からこそ、俺はそれを窘める立場ではなければならない。……なんて、考えていられるのは今のうちなのかもしれない。
ニナが欲しいと、これ以上思ってしまったら…俺はそこで考えるのを辞めた。








一人の思惑








閉まっておけばいい




prev next

[back]