桜の悪戯

恭ちゃんは、桜の木の下で立ち止まった。
「…この樹…」
ふと、頭が痛くなって、私はその場にうずくまった。

「…和…」

―…え…?
今、確かに私の名前が呼ばれた気がした。
何年振りだろう、すごく久しぶりに聞いたような…ううん、懐かしくなんかない、ついこの間も聞いたような…
「…覚えてる…?和…」
…何の、話?
そもそも、恭ちゃんは、`私´に話しかけているのだろうか…?
恭ちゃんは、さっきから、桜の木を見つめたまま、私のほうを向かない。
恭ちゃんは、一体誰に話しかけているの…??
私は不安になって、恭ちゃんに尋ねた。
「…ねぇ、恭ちゃん…それ、私に、言ってるの?」
返事はない。
「ねぇ!意地悪しないでよ!」
後ろから、抱きついた。







つもりだった。







「…え」

→続く

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