終わらない世界

言葉じゃ会話はできない。
彼は輝いていた。彼にとって、彼は眩しかった。そばにいたかった。
彼は自由だった。“愛”なんてものに縛られない。
「‘悪意’に満ちてますから、この世は」
「…そうだね。俺も、…おまえも。」
甘美な魅惑を口元に湛え、彼は‘ふわり’と笑った。

◆ ◆ ◆

彼らはさがしていた。自分たちのための世界、未来を。
…思い出せない?
「きっと、仕組まれているんですよ、そうでもしなければ…」
‘過去を知る’彼はそう言った。
「出逢えるよ、先はみえてるから、明日は…」
‘未来を見る’彼はそう言った。

◆ ◆ ◆

「止まらないで。」
彼はそう言った。
思いはどんどん溢れてくる。
「どこまでも」
彼はそう言った。
差し出した手を取る者は一人しかいない。
彼らは走り出した。
水平線が見えるまで。

「   」

水平線に誰となく叫んだ言葉は、波音にかき消され、静かに響き渡る。
「しょうがないなぁ、もう。」
聞こえていたのか、彼はそう言って笑っていた。
彼は優美な動きで指先を向けた。
その姿はまるで、未来を指し示す女神像のように。
カーテンドレープのように舞う未来は、永久(とわ)に広がる。
風に揺られ、情熱的なときめきを誘い出した。
決して終わりのこない、“僕らだけの未来”に向かって。
そして、浮かれた時は永久(とわ)に続き、甘やかな破滅へと、向かう。

Fine.

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