ぶく。

常識

ぶくぶく。



ぶくぶくぶく。

人間


わたしは―――

「ねぇ、君は今まで生きてきて、何か意味があったのかい」

このまま水に溶けてしまえば、意味が分かると思っていた。
このまま姿形跡形もなく消えてしまえば、何かを、

砂浜に打ち上げられる手足は、翌日には繋がり一つの生命体を作り出す。
それは不完全で、完全体だった。
それでも、答えは見つからなかった。見つけるつもりもなかった。
自分の足跡は永遠と伸び続け、そしていずれは溶けてしまい、また再生する。
繰り返し、繰り返し波に飲まれて。

私は花になりたかった。美しくありたかった。
自分が生み出す雫は花弁を揺らし、腐敗させていく。
醜かった。酷く、醜かった。大好きな花が、醜かった。

ぶくぶくぶく。

散って、散っていく。

ぶくぶく。

それでも、私は

ぶく。

私は―――


夢を、持ってしまった。


▼戻る