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「うむ、信じられないような話だが」


ここは火影室という木の葉隠れで一番偉い火影様のいる部屋らしい。そして、目の前のグラマーな女性が火影の“綱手”という方らしい。あれから私はカカシさん達にここに連れられ経緯を話していた。事故に遭い気が付けばあの広場にいたこと忍びを知らないことを。


「それで、お前名前は」

「うずまきクシナです」

「!」

「ここは私のいた世界じゃないみたいです」

「その様だな」

「え、」


こんな非日常的な話し信じてもらえないと思っていたのに直ぐに受け入れられた言葉に驚く。目の前の綱手さんを見れば頬杖をしていた手を離し、口の前で指を組み溜息をひとつする。


「……昔、お前によく似た女性がこの里にいた。本当によく似ているんだ」


“いた”という過去形を強調する綱手さん。その意味は何となく分かってしまった。忍びが中心のこの世界。忍びとは戦う者、戦う者がいてるということはもちろん負傷者がでる。私の知っている世界よりずっとここは物騒な世界らしいことは想像ができたが、確かめてしまう自分がいた。私によく似ている女性になにか思うものがあったのも確かだけど、本音は私の推測を否定してほしかったんだと思う。


「その方は…」

「あぁ、死んでいる」

「…」

「クシナさんはナルトを産み、ある事件に巻き込まれ……。ナルトをそしてこの里を守るために命を落としました」

「…夢」

「え、」

「夢を見たの…。ナルトの名前が聞こえて、生まれてきてくれてありがとうって。私とよく似た女性が…」

「…母ちゃん!!」

「いきなり何するんだってばね!!」


話を聞いていたナルトは涙ぐみ突然私に抱き着いてきたから殴っておいた。私にはミナトっていう素敵な彼氏がいてるんだから。でも、妙に納得してしまう今の状態。それに、自分に似た人が死んだと聞かされたら多少はショックを受けるだろうけど私は受け入れてしまっていた。
そして、何気なく見た窓の外には


「!!うそ、ミナト!?」


岩に5つ顔が彫ってある。目の前の綱手が一番右端。その左側に逢いたいミナトの顔があった。見間違える筈ない、あれはミナトの顔。


「なに!ミナトを知っているのか?」

「…ミナトは私の恋人です。一緒に事故に合って、」

「そうか、お前の世界にもミナトはいるのだな」


暫し、考える表情をした綱手が一言。


「パラレルワールド」

「え」

「パラレルワールド。つまりは並行世界だ」

「なるほど、って何の解決にもなってないってばね!」

「まぁまぁ、落ち着けクシナ。こちらでも文献をあたり出来るだけお前が元の世界へ帰れるようにする手助けするつもりだ」


半ば、諦めかけていたクシナにとって救いの言葉。


「それまで!クシナのことはナルトが面倒みるように!以上。」

「「え」」


暫しの沈黙の後批難の声を上げたのはもちろんクシナ。しかし、その声は聞き入れてもらえる訳もなく……。



(じゃあ、よろしくだってばよ)
(年頃の乙女が…しかも、ミナトがいてるのに)