05




人を大切になるのが怖い。今でも人の背中は怖い。おばあちゃん以外の大切な人なんて出来るわけないと思ってた。だけど、私だけ中を占めるミナトの割合はだんだんと増すばかりだった。


「ずっと…傍にいるよ」

「……」

「クシナには背中見せたりしないから」

「…聞いてたの?私、普通じゃないんだよ?」

「クシナはクシナでしょ?」

「!」

「"普通じゃない"なんて言葉で自分を追い込まないで」

「……ミナト」


ぎゅっと抱きしめてくれるミナト。この話をしたら離れて行くんじゃ……と、心のどこかで思ってた。


「クシナのおばあちゃんに挨拶に行っていいかな?」

「あり、がとう…ありがとう…ミナト」


おばあちゃん、私…幸せだよ?ミナトをおばあちゃんに合わせたかったなぁ。


「クシナ好きだ、」

「私、も…」

「大好きだ、」

「私も大好き、」

「愛してる…クシナ」


ミナトの背中にやっと手を回す。もっともっとミナトに。誰も私たちに入り込めないように。


(私の小さな世界が崩壊した気がした)