人を大切になるのが怖い。今でも人の背中は怖い。おばあちゃん以外の大切な人なんて出来るわけないと思ってた。だけど、私だけ中を占めるミナトの割合はだんだんと増すばかりだった。
「ずっと…傍にいるよ」
「……」
「クシナには背中見せたりしないから」
「…聞いてたの?私、普通じゃないんだよ?」
「クシナはクシナでしょ?」
「!」
「"普通じゃない"なんて言葉で自分を追い込まないで」
「……ミナト」
ぎゅっと抱きしめてくれるミナト。この話をしたら離れて行くんじゃ……と、心のどこかで思ってた。
「クシナのおばあちゃんに挨拶に行っていいかな?」
「あり、がとう…ありがとう…ミナト」
おばあちゃん、私…幸せだよ?ミナトをおばあちゃんに合わせたかったなぁ。
「クシナ好きだ、」
「私、も…」
「大好きだ、」
「私も大好き、」
「愛してる…クシナ」
ミナトの背中にやっと手を回す。もっともっとミナトに。誰も私たちに入り込めないように。
(私の小さな世界が崩壊した気がした)