「……クシナ?」
勢いよく抱きついた(飛びついた)にも関わらずミナトは私をしっかりと抱きとめてくれた。
「……誰?私、知らないよさっきの子、」
「…ミコトのこと?」
名前なんて聞きたくない。私ってうざい子なのかな?家に来た女の子をいちいち探索して、
「ははは、」
「ミ、ミナト?」
声を出して笑うミナトに驚いて見上げた。ミナトはとても優しい顔で笑っていた。え?この状況で笑う??
「俺、愛されてるって自惚れてもいいのかな?」
なんて、にこにこしながら言ってくるもんだから、
「っ!し、知らない!!」
「俺は愛してるんだよ?もちろん、クシナのこと」
「///」
「ミコトは幼なじみだよ。それにミコトには彼氏もいてるしね」
「……ん、分かった」
「……クシナ」
「駄目なんだってばね。ミナトに会ってから私、弱くなっちゃったってばね……」
本当に弱くなった。昔の私なら独りだって、誰かが誰かを好きとか嫌いだとか別に気にならなかったのに。
「クシナ……?」
「私ね、小さな頃に両親が死んで、親戚の間をたらい回しにされてね…」
私は愛される資格なんてないと思ってた。だから、独りでも大丈夫だったし怖くなんてなかった。だけど、ミナトがあまりにも普通の愛を私にくれるもんだから…
私の話しをミナトには聞いてほしいと思った……