10 旅行の時間



来週から椚ヶ丘中学校3年生は京都2泊3日の修学旅行がある。もちろんE組も修学旅行に行くがE組の旅行はただの旅行ではなく、暗殺旅行だ。各班行動に殺せんせーが同行し、その際に狙撃のプロたちが殺せんせーを暗殺する計画だ。その為、私たちは暗殺向けのコース選びをしなければいけない。


「あ、なまえちゃんー!」

「ん?」


教室の端と端にいたにもかかわらず大きな声で私を呼ぶカルマ君の声に振り向く。来る気配がないのでしょうがなくカルマ君のところに小走りで駆けていく。


「なまえちゃん、同じ班どーお?」

「いいよ でも、1人多くない?」

「7人班があるんだよ」

「あ、そっか…じゃあ、メンバーは」


目の前にいる渚君、カエデちゃん、カルマ君、杉野君、奥田さん、神崎さんらしい。


「うん この7人ね。よろしくねなまえちゃん」

「こちらこそ、よろしくね」


杉野君、奥田さん、神崎さんとはあまり面識はないけれどこのメンバーなら楽しい旅行になりそうだなって思えたのは、私がE組に慣れた証拠。



◇◇◇



それからは私たちは班行動…暗殺向けのコースを相談する。京都の地理や歴史、観光名所などなど。殺せんせーには自然に楽しんでもらえる。かつ狙撃の人が狙撃しやすい場所を。


「京都の歴史といえばさ…」


京都の歴史について調べていた時だったカルマ君が思い出したように話し出す。


「都があったのも関係あると思うけど、処刑場とか」

「そ、そう云えば殺せんせー甘いもの好きじゃん!!名物食べながらとか、」

「なまえちゃん、俺 話終わってないんだけど…もしかして」

「そ、そうだよ怖いのダメなの!話…変えよ?」


瞬間、二ヤリとカルマ君の口角があがり悪い笑顔に


「あ、なまえちゃん それ逆効果…」


渚君の呟きを聞いた後、カルマ君は楽しそうに、楽しそうに…えぇ、それはそれは楽しそうに怖い話をたくさんしてくれましたよ。耳を塞いでも、声を出しても効果なし。
…なんで、怖い話って大人になるとダメなのかな?想像しちゃって、
晒し首の場、三条大橋、廃墟、廃病院、トンネル、その他心霊スポット……



◇◇◇



「もう!!カルマ君なんて嫌い!」

「まぁまぁ、」


今日の調べる作業は終わりみんなは解散。私はカルマ君と意外と家が近いようなので時間が合えば一緒に帰っている。


「どうしよう…」

「ん?」

「今日、寝れない…というか、京都行きたくない」

「え!!そこまで?!」


すると、カルマ君は少し考える様子を見せて、


「…俺が今日一緒にいてあげようか?」

「お願いします!」

「…まじ、」




(責任とってよね カルマ君!!)
(え、)


というわけで、カルマ君に責任をとってもらうためにカルマ君は私の家にお泊りです。