はじまりの森 04


私は今まで平凡に目立たず静かに生きてきた。私の家族は、昔は仲良かったはずなのに年々距離が空いてしまい今では会話もほとんどない。友人もいてるけど、どこか表面的な関係。損得、身分そんなくだらないものに縛られている社会が嫌い。そんな、生き方をしてきたから友情とか愛なんて綺麗なものなんてしらない。ただ、生きていくだけの私に勇気や感動をくれたのは、NARUTOという漫画。たくさんいるキャラの中でもナルトは私の憧れだった。辛い境遇に負けない生き様は私に勇気と感動を与えてくれた。


◇◇◇


「儂が火の国の火影じゃ。お主名は、」

「…みょうじなまえです」


いつもは穏健で微笑みの絶やさない三代目火影。そんな三代目も私の登場は警戒に値した様子で険しい表情をしている。でも、私が名乗ったことで多少の警戒は解いた様子。三代目の両脇に仕える暗部はたぶん、ナルトとシカマル。もしかして、擦れ設定ですか?


◇◇◇


「なまえか。お主に聞きたいことはたくさんある。じゃが、一つお主は何者じゃ?この暗部の者達の正体を知り、火の国の者でもなく、チャクラのない身体…」


ここはあの漫画、NARUTOの世界で私は俗に言うトリップというものをしてしまったらしい。世界を飛び越え、“私の世界にはこの世界の本がありました”なんて、目の前の火影様に説明なんてできるわけがない。


「えっと、」

「言わないなら、殺すぞ」


狐の面をしたナルト?が、殺気を放ちながら言う。


「えっと、私もよくわかってないというか」


正直な気持ちだ。私の記憶では何時ものように自分の部屋のベッドで寝ていたはずである。そう、いつもの平凡な一日で明日もこれからも続いていくと思っていた。


「しかし、ここは私の世界ではないみたいです」


そう、絞り出した言葉はあまりにも大雑把な受け答えになってしまった。


「パラレルワールドってやつか?」


シカマル?が私の服や発言、出逢いなどを組み合わせて妥当な答えを求めようとする。


(((パラレルワールド???!)))


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