みんな空の下


「ピクニックに行きたい」


突然の私の提案に怪訝な顔のナルトだったが必死に頼んでナルトとシカマル、それにアカデミー生の表のナルト達と仲のいいみんなも誘うことに了承を得た。
そして、あっという間に当日。
私は早朝から張り切ってみんなのお弁当作り。仕込みは前日に完璧に済ませてかなりの自信作。ネギや明太子を入れた変わりものの卵焼きやチューリップの唐揚げ、ポテトサラダなどなど子どもの好きなお弁当ランキング上位独占弁当の完成だ。



◇◇◇



このピクニックは楽しいみんなとの出逢いでもあり、私の思い出作りと心の整理を目的としている。
私のこの世界での何も考えずにいられるのもあと少しだけ。もう少しすれば私はこの世界か向こうの世界どちらかを選ばなけらばいけない。数か月前の私なら世界なんてどうでもよかっただけど、この世界でナルトと出逢いシカマルと出逢い木の葉の里の人たちと出逢い私の大切なものは日に日に増えてしまって…。向こうの世界で頑張ってみたくなった。でも、こっちの世界にはその大切なものを教えてくれた人たちがいて、今では選べないくらいにどっちの世界も大切になっていた。それでも、私は選ばなければいけない。



「どーしたんだってば?なまえが言い出したピクニックなのに、」

「あ、ごごめん」


気が付けば、ピクニックの目的地である顔岩の横にある小さな広場に着いていたらしい。ここからは木の葉の里、この世界が一望できる。
あまり面識のないサクラちゃんがレジャーシートを広げながら私に視線を向ける。


「今日は誘ってくれてありがとう」

「うん!ごめんね。ぼーっとしてて、今日は来てくれてありがとう」


他愛ない会話で直ぐに打ち解ける。子どもの頃の友達作りって数分で打ち解けてしまうから不思議だ。


「これよかったらみんなで食べて?」


みんなの座るレジャーシートに二つずつ置いた重箱。今日は大勢の食べ盛りが来てくれたので量もかなり作ってみた。


「わー!これなまえちゃんが作ったの?」


お弁当を見た途端上がる歓声に私も頑張ってよかったと表情が緩む。表のナルトもバクバクと既に食べ始めてサスケ君に怒られている。

みんなみんな笑っている。私の作ったお弁当を食べて、私の傍で、
この瞬間が永遠に続けばいいのに、何も考えないでずっとずっと笑っていたいな。


「!」


木の葉が私のお弁当の受け皿に落ちる。ゆらゆらと揺れた木の葉は風に流されまた木の葉の里の方へ飛ばされていった。
永遠なんてない。風は流れて、時は留まることなんてないんだ。


「ナルト、シカマル……ありがとう、」

「なまえ?」


(あと少しだけ……)




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