同じ空を見ているはずなのに


あれから2か月。私は木の葉病院に入院し、更に1か月絶対安静を余儀なくされた。入院生活ではシカマルがよくお見舞いに来てくれたけどナルトは全くと言っていいほど来なかった。シカマルによると責任を感じているとのことだったけど、あれは私が勝手に飛び出しただけだし、ナルトもシカマルも掴まって連れ去られた私を助けてくれただけ。

退院してナルトの家に帰ってもナルトは私とは一切しゃべらず距離を置かれ、朝早くに出かけ、アカデミーが終わるとそのまま任務に就き、夜遅くに帰宅する。そんなすれ違いの日々。でも、一人になることは無くなったナルトの命令でシカマルか影分身のシカマルが常に私につくようになった。


「シカマル」

「あ?」


シカマルはいつも通り難しそうな本を片手に寛いでいる。眉間に皺を寄せながらも本から視線を外し私を見る。私と言えばシカマルを呼んだけれどこんなことを聞いてもいいのか困りあぐねていた。


「どうせ、ナルトのことだろ?」

「な、なんで!!!」

「そんくらい、誰でも分かる」


そうだよね。だって、ナルトはあからさまに私を避けている。ナルトに嫌われているのを再確認するのが怖くて今まで聞けなかったけど、このままの関係がいいとも思っていない。この状況を第三者として一番理解しているであろうシカマルに事を聞くのが一番いいと思っていた。


「別に、ナルトの奴お前のこと嫌いってことじゃねーと思うぜ?」

「だよね………って、え!」

「嫌いな奴にこんなめんどくせー護衛なんざ俺にわざわざ頼まねーだろうし」

「…じゃあ、なんでナルト、」

「さーな、そっからは本人の口から聞け……ナルト誤魔化すなよ、」

「え!!!」


そう言いながらシカマルの向けた視線の先にはナルトがいた。シカマルは1つ伸びをすると「こんなめんどくせーこともう御免だぜ」と、ナルトに言い部屋を出ていってしまった。
部屋には3カ月ぶりのナルト。同じ家で住んでいてよく顔を合わせなかったと呆れてしまうくらいナルトの姿を見るのは久しぶり。


「ナルト……ひ、久しぶりだね…」

「あぁ」

「あの、あの時は…ありがとう」

「っ、」

「ナルト……?」


本当のナルトは口数が少ない。だけど、久しぶりのナルトは更に口数が少なく纏っている空気もどこか重たい。


「なんで、」

「?」

「なんで、あの時俺を庇った!!!」


なんだ、ナルトは私のこと嫌ったわけじゃなかったんだね。人との関わりが極端に少なかったナルトの人生。そして、その極端に少ない人との関わりも忍びとして特殊な関わりだった。だから、こうやって話すこと知らなかっただけなんだ。


「ナルトのこと、好きだから」

「え、」

「好きで、大切……だからね、怖くっても心が身体が先に動いちゃうの」

「なまえ…俺、」

「あの時…ナルトが助けに来てくれて…私、嬉しかった…もう、駄目かと思ったから」

「……」

「ありがとう、ナルト」


(なまえ)
(なに?ナルト、)
(なまえは俺が絶対守る)
(……)

そのナルトの言葉に返せるものは今の私にはない。
黙ってナルトを抱きしめる。抱きしめ返してくれるナルトは温かくて安心をくれる。



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