我慢は身体に悪い

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秋。秋と云えば、運動の秋、読書の秋、芸術の秋そして、食欲の秋。秋には美味しいものが沢山あるからついつい買い出しも時間が掛かってしまう。って妄想するけど、只今中庭の落ち葉の掃除中。次々浮かぶ美味しいものにお腹が鳴ってしまう。


「この落ち葉で焼き芋作ったら美味しいだろうなぁ」

「しやしょう」

「わっ、吃驚するじゃないですか!」


突然現れた沖田さん。吃驚して持っていた箒を手放しそうになる。いつも突然背後から現れるから心臓に悪いです。


「すいやせんね。それより焼き芋しやしょう。丁度、ここににさつま芋もありやす」

「駄目ですよ。てか、さつま芋なんで持ってるんですか?」

「細かいこと気にしたらいけやせんぜ。それに、我慢は身体に悪いですぜィ」

「そういうことなら俺も献上しよう」

「近藤さんまで!」


近藤さんまで参加するならお咎めはなさそうだ。それに、正直焼き芋食べたかった。そうと決まれば行動あるのみで、


「じゃあ、用意しますね」


急いで炊事場に向かって新聞紙を濡らしてアルミホイルを持って中庭に戻る。ちゃんと火箸も持ってきて準備は完璧。


「何で濡れ新聞紙なんざいるんでィ」

「へへん♪それはですね、濡れ新聞紙をこうやって先にさつま芋に巻くことによって綺麗に蒸すことができるんです。で、巻き終わったらアルミホイルを巻くんですよ」

「成程なぁ、流石なまえちゃん」


近藤さんは私に習って直ぐに準備に取り掛かっていた。その後、沖田さんも黙々と準備を行っていた。それにしても、沖田さんも近藤さんのさつま芋も高級そう。


「近藤さんこのさつま芋高級そうですね。よかったんですか?」

「あぁ、父つぁんに頂いたんだがな俺じゃ調理なんざ出来ないしこうやって皆で食べたほうがうまいだろ?」

「ありがとうございます」


あぁ、ここにお父さんがいてます。準備の終わったさつま芋達を近藤さんが火をつけた落ち葉の中に入れていく。パチパチと心地いい音と温かさの周りに団を取る三人。


「いいもんだなぁ」

「どのくらいで出来るんですかィ」

「ふふ、沖田さんさつま芋はじっくり美味しくなるのでまだまだですよ」


和やかなこの雰囲気が大好き。真選組という戦いを中心に生活している集団は常に騒がしく落ち着かないのだ。でも、たまにはこういった時間も必要だと思う。

「ったく、近藤さんまでサボって」と、背後からあきれ顔の土方さん。そのまま火を消されるかもと思ったがそれは杞憂に終わった。「たまにはいいじゃねーかトシ」と、近藤さんの一言で土方さんも焚火に当たる。


「何普通に混ざってるんでィ」

「あ、いいだろ別に減るもんじゃねーし」

「減るんでィ、取り分が」


(わぁ、すごく美味しい!)

(やっぱり焼き芋にも)
(((マヨネーズ、)))
(あ?いるか?)
(((いるかー!!!!)))

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