月夜の休息 (前篇)

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世間では辻斬りによる被害が多発しているかぶき町。土方さんは寝る間もないくらい忙しいと話していた。それと、山崎さんの話だと鬼兵隊が絡んでいるとか


「沖田さん、」


いつもはサボっている沖田さんも今回は真面目に仕事している。それだけ大きな事件であるということ。大丈夫って信じているけどやっぱり不安で。私はなかなか寝れずに布団の中で何度も寝返りをうつ。


◇◇◇


「何て面してんですかィ」


結局、寝れずに縁側で夜風に当たることにした私。すると、隣には沖田さん。本当に神出鬼没。でも、沖田さんは寝着ではなくまだ、隊服を着ている。しかし、スカーフは取っているので仕事は終わった様子。


「沖田さん!今帰られたんですか?」

「あぁ、さっきも辻斬りがあったみたいなんでねィ」

「…!」


「早く寝なせェ。寝てないんだろィ?」と、言いながら頭をポンポンする沖田さん。沖田さんの顔を見るため見上げると、目の下を指さしている沖田さん。


「クマ」

「模様です」

「そりゃ、知らなかった」


隣に座る沖田さん。黙って二人で月を見上げる。


「にしても、でけェ月だな」

「本当に大きいですね」


「中秋の月っていうみたいですよ」と言うと。「へェ」と興味無さ気な生返事。沖田さんを見るとこくりこくりと船を漕いでいる。疲れているよね。仕方ない。


「沖田さん、こんなところで寝ると風邪ひきますよ?」


私の肩に頭を預けて気持ちよさそうに寝てしまった沖田さん。こうやって寝ているときは大人しくて可愛い顔してる。それに、すごく綺麗な亜麻色のストレートの髪。さらさらと前髪を弄ると「ん、」と唸る沖田さん。いつもならぶった切られそうだけど今日は全く起きる気配がない。


「お疲れ様です。…沖田さん」


(…起きるタイミングどうしやしょーか)

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