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ひとりじめ

(……間抜けな顔だな)
 ふに、と柔らかくふくらんだ頬をつついてみる。目を覚ますような気配はない。起こすつもりは毛頭ないし都合がいいといえばそうなのだが、なんとなくつまらないような気もしてカキは眉間にしわを寄せる。
 気を許しすぎているのもどうなんだ、とカキは人知れず、それこそ日頃から常に頭を悩ませていた。今日はバイトが休みだったしゆっくりするのも手持ち無沙汰ゆえ、特に深く考えることもなくなまえの家まで遊びに来た、それがほんの30分前のこと。カキのことを快く迎えたなまえは始めこそ嬉々として話し込んでいたのだが、ふと静かになったと思えば知らぬ間に寝入ってしまっていたのである。寄りかかっていた体を淡い水色のシーツに横たわらせてもう5分ほどは経っただろうか? 規則正しい寝息は少しも乱れることなく、よほど熟睡していると見える。
 あんな事件があったのだからもう少し警戒心を持ったっていいだろうに――そう思って、首を振る。こんなことを言えばまたなまえを怯えさせてしまうだろうし、カキだって男なのだからそれ相応の衝動こそあれ傷つけたいとは思ってない。好きな女には笑っていてほしい、そのほうが自分も笑顔でいられるから。
 だから、きっとこれで正解なのだ。自分はせめてなまえの安らげる場所であればいい、それこそがカキの望みだった。もしかすると出会ったときから決めていたのかもしれない、なまえのまどろみを、安らぎを守っていくのだと。
 ――けれど。
(少しだけ、淋しいと思うのも嘘じゃない、な……)
 もうちょっと、ほんの少しだけでも意識してくれたらいいのに。光栄なような不服なような複雑な胸中のまま、カキはなまえの頬をつまんだ。



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