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無題

 立ち止まるわけにはいかなかった。終わりなんて呆気ないものを、こんなにも簡単に迎えてはいけない。自分には役目があった。彼から預かったドンカラスを返す。彼にみたびの「希望」を見せる。自分の掴んだそれを渡す。絶望に沈む彼が、せめて心を安らかに出来るよう、可能な限りのことをしたい。
 だからこうしてアローラに来たのだ。否、偶然が重なっただけでもあるのだけれども、運良くここには島めぐりという風習があった。古くから伝わる由緒正しいこの文化を全うできれば、それはある種の願掛けにも繋がるのではないかと考えた。立ちはだかるキャプテンを下し、しまキングやしまクイーンにも打ち勝ち、そしてその先に達した暁には――
 早く会いたい。必ず会いたい。足を止めるわけにはいかない。自分はどうしても、何があっても、あの人にもう一度会いたかった。伝えたいこともあったのだ。
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