Pokemon

2年の月日を飛び越えて

 ――あともう少しだ。先をゆく背中を見つめながら、ヒビキは深くうなずいた。
 想いを寄せる彼女は自分より10cmほど背が高くて、2つの年の差があるとはいえど見上げ見下げられの関係というのは男としてひどく情けないものである。彼女に言えばきっと「ヒビキは本当に可愛いね」なんて笑い飛ばされるに決まっている。
 絶対に追いついてやる、絶対に絶対にぎゃふんと言わせてやる。そう思って早数ヶ月、成長期真っ盛りのおかげで目線はみるみるうちに彼女と近くなった。あとわずかでこちらが見下ろす側になるだろうことは明白で、その日を思ってヒビキは何度も右手拳を握りしめる。
 いつか絶対言ってやる、絶対に驚かせてやる。自分のことを意識させて、その余裕な表情をこれでもかと掻き乱してやるんだと――ヒビキの小さな野望が叶う日は、きっとそう遠くないはずだ。


20180420

- ナノ -