祐希の手が好きだ。
細く華奢な手が俺の頬に触れられると、そこがじんわりと熱を持って頭がまでくらくらする。

祐希の瞳が好きだ。
いつだって眠そうに落ちかけたまぶた。
その下で物事を広く見据える瞳に少しでも映っていたくて世話を焼いていることも、見透かされているような気がして怖い。

祐希の声が好きだ。
悠太、とどこか縋るように名前を呼ばれる度に、自分は祐希に尽くすことこそが至福なのだと勘違いさせられる。
ねえ、と声をかけられるだけで、祐希の一番は自分なのだと思い上がり、すぐに自己嫌悪。
すっかりそのサイクルにも慣れた。

祐希にとって自分はよき兄で、よき兄弟で。
決してそこから逸脱してはいけないのに、祐希は俺の唇に触れ、頬を撫で、瞳で心を支配し、声で脳を麻痺させた。
わかってよ、祐希。
好きになったらおしまいなんだ。
もう二度と仲の良い兄弟には戻れない。
好きが交差して拗れて、嫌いになるのなんて早いんだよ?
わかってるの?わかってないでしょう。
だから俺は今日もまた、唇を閉ざして手を払い、目を閉じて耳を閉ざした。


過剰拒絶反応


(俺が望むのは君との平和な永遠)

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