首筋のキスは(音トキ+レン)


※拍手文でした。



「トキヤぁ〜、会いたかったよ〜」

授業が先程終わり、今は休み時間、
授業で使っていたノートや教科書を直していると後ろから抱き締められる。

後ろを態々見なくたって誰だか分かってしまうのはこれが初めてではないからなのでしょう…ね。
頭痛がします。

「…音也、離れなさい。」

「えー、嫌だ嫌だぁ」

ぎゅーと更に力をいれる音也。
微妙に苦しいのですが。

「っいい加減にしなさい!此所は教室ですよ!」

無理やり引き剥がすと不機嫌そうに目を細める。
「ちぇ、トキヤのケチ。」

「ケチじゃありません。大体音也、毎時間休み時間に来て抱き締めるのは辞めろと何時も言っているでしょう。」

「えー、だって1時間近くも離れてんだよ?寂しいじゃん?」

平然とそんなことを言ってくる音也にため息さえ出ない。
というか、頭痛が悪化した気がします。

「いいえ、全く。」

取りあえず思ったことを言うことにしする。

あからさまにショックを受けている音也に全く理解が出来ません。したくありません。

「まぁまぁ、イッチーそんなに言わなくてもさ」

いつの間にか私の後ろにいたらしいレンが何時もの笑顔でそう言った。

「私は正しい事を言ったまでてすが…」

廊下から黄色い声がする。
毎度の事ながら彼女達はああやってレンに会いに来る。
レンはアイドルに嫌でも向いているというのは彼女等を見たら一目瞭然だった。

「まぁね、」

そんな彼女達にウィンクをしながらそう言うレンにまた黄色い声が飛ぶ。
……煩い。

「レンってスゴいよね」

ふと音也がそう言う。
確かに凄いことなのだろう。
私にはきっとあんな風には振る舞えない。
それに実際、私の性格上合わない。
あれはレンだからこそ出来るのだと思う。

「…尊敬は、しますね。」

「それは嬉しいねぇ」

「聞いていたんですか…」

「ああ、イッチーは殆ど誉めてはくれないからね」

そう言って私にウィンクをしてくる。
前々から思っていましたがレンはウィンクが上手い。
やはり何時もしているからなのだろうか、

「トキヤ!」

じー、とレンを見ていると音也に引っ張られて少しバランスを崩す。がなんとかバランスを取り直す。

「音也、突然引っ張ったら危ないでしょ…う、」

私が音也の方を向くとパチン、とウィンクをしてみせる音也。

「……音也?」

何故今音也がウィンクをしたのかさっぱり分からず呆気に取られていると、レンが笑い出した。
…意味が分かりません。

「なんだいイッキ。嫉妬かい?」

笑いながらレンがそう言えば、音也はぎゅっと私を後ろから抱き締めながらレンを睨んだ。

「っ!?え、音也!?」

「トキヤは俺のなんだからね!」

そうキッパリとレンに言いきってから私の首筋にちゅっとキスをする。

予想外の事に何だか色々と思考がついて来なくなっていく。
訳がわからない。
何ですか、この状況は。

「熱いねぇ、お二人さん」

レンの声にハッとする、そうだ。此所は教室で、生徒だって沢山いる。

そう思い出した瞬間顔に熱が溜まる感覚、と反射的だったらしい音也を思いっきり殴っていた。

「ぐぅ…っ!?」

音也が悲痛の声をあげるが知らない。
痛みに緩んだ音也の腕から抜けるとある程度の距離をとってから音也を見る。

「…音也…、貴方は一体何を考えているんです?こんな人前で…」

「じゃあ人前じゃなかったら良いn」

「駄目に決まっています。大体何時も何時も貴方は何処でも抱きつき過ぎです。
少しは場をわきまえて、周りを窺うようにしなさい。」

「でも…女の子は喜んでたじゃん」

「知りませんよそんなの。」

「えー、」

「何です。」

「…っ何でも…ないです。ごめんなさい…。」

私が相当機嫌が悪くなったと取ったのだろう、音也は大人しく教室に帰って行った。

音也の帰って行く後ろ姿を見ていると犬の耳と尻尾があったら垂れ下がっているのだろうと思うと少し罪悪感が沸いてしまう。

私も少し怒りすぎたかもしれない。
今晩はカレーにしようか、そんな事を思いながら席についた。



*首筋のキスは執着




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キスの場所シリーズ3。

今回は首筋です。
掌、唇と結構キスの場所の意味ではメジャーな所からの突然のマイナーな首筋です。
書いてたら執着が一番合うかな?と思いまして。
こじつけには変わり無いですが、
しかも少し長めですよね。
すいません。






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