10、惚れる(桜04)

「秋はよく桜士郎の事思い出すなー」

ふと一緒に帰っていた一樹が呟いた。

不意を突かれて何も言えずにいると
さっきまで他所を見ていて一樹が振り向く。

俺より本の少し低い所から翡翠色に見つめられて不覚にもドキリとした。

「紅葉とか、夕日とか」

「かず…」

「赤。」

俺がやっと出した声を意図も簡単に遮って

密網の髪を軽く掴む。

「桜士郎の色だ」

不敵にニヤリと笑う。

突然心臓の音が五月蝿くなって

一樹にまで聞こえてしまいそうだった。


ふと一樹を見れば未だに笑っていて俺と目が合うと

嬉しそうな笑顔に変わって

「顔も真っ赤だな」

なんて、

反則だよ、

どうしてくれるの。

またお前に惚れちゃったよ。


なあ一樹、俺は何回お前に惚れたらいいんだろうな。




*惚れる



一樹に何回も心を奪われている桜士郎的な(´∨`)

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