「チョコくれないとイタズラしますよ?」

今日は2月14日バレンタイン。
と言っても平日な訳だし、最近は女の子同士で友チョコとかがあるけど彼女が居ない限り男には日常的に変わり無い。

だから勿論ボクにも関係がない。
ボクはそう思ってたんだけど…


そーたんはちよちゃんを、ボクは渡狸を学校に送って今はラウンジに居る。

今日は野ばらちゃんも仕事らしく留守にしていて結果ラウンジには今ボクとそーたんしか居ない。

必然的に二人きりになったから何と無くお喋りをしていると今日はバレンタインだって話になった。
そして冒頭のそーたんの言葉。

「…そーたん何か混ざってない?」

「…そうですか?」

「うん。」

だってバレンタインにチョコあげなくたってイタズラされないじゃん普通。

それ多分ハロウィンと混じってるよ。

「夏目さん、今日はバレンタインです。」

「うん、今まで話してたし。」

「チョコは下さらないのですか…?」

「…うん。」

だってボク男だし。

「そう…ですか…」

…なんだろう。

そーたんが犬にみえる。
しかもかなり落ち込んだ犬にみえる。

え、何?
何でこんなに落ち込むの?
そんなにチョコ欲しいの?
糖分不足なの?

「チョコ、そんなに欲しいのー?」

「はい。」

キラキラした目で即答されちゃった。

うーん、部屋にチョコなんてあったかな?
あ、この前食べちゃったっけ。

「…じゃあ今から買いにいくねー」

「夏目さんの手作りですね。」

「うん……え、あれ…?」

え、肯定なの?
手作りって決まっちゃってるの?

ボクあんまり料理とかしないんだけど。

「本当ですか?
ありがとうございます夏目さん!」

「…うん。」

何か手作りするしかなくなったみたい。







ガサガサと買ってきたチョコを出す。

あの後僕も着いていきますって言ってくるそーたんを断って一人でチョコを買いに行った。
バレンタイン当日にチョコを買う人なんて殆ど居ない、得に手作りの材料とか今頃無い。

しょうがないから普通のお菓子売り場でチョコとそれを入れる箱を買う事にして、帰ってきた。

手作りチョコって手作りも何も溶かして形変えてるだけじゃんとか思いながらも溶かしにかかると甘い匂いがボクの部屋に充満する。

後で換気をする必要が有りそう。

なんて考えてチョコを作りながらふと、

「そーたんって甘い物すきだっけ?」

と、
確か好きじゃなかった気がするんだけどー?
大体ちよたんから貰うだろうし…態々ボクが作る必要性も感じられない。


「…何が目的なのかな?」

出来たチョコを一緒買ってきた箱に積めたものを見ながら呟く。

まあ、でも出来たし渡すだけ渡そう。

そう思った時だった。

「夏目さんありがとうございます…大切に保管しておきますね」

目の前にそーたんが居ました

「………」

驚きすぎて声が出ない。
鍵は開けていたけど…え、いつ入ってきたの?

「…そ、そーたんいつの間に…」

「そろそろかと思いまして。」

ぎゅ、とボクの手ごとチョコの箱を握るとにっこりとわらってくる。

「まさに今出来たよー」

そう言ってボクも笑い返してチョコの箱とそーたんの手に挟まれた手を抜こうと力を入れたと殆ど同時。

「実は…、僕が甘いものが好きだったか、と夏目さんが呟かれた時から居ました。」

「うわ、結構な前だ」

まさかの真相だった。

「目的…知りたいですか…?」

「…知らなくていいよ」

「……では、言わせて下さいませんか?」

「………」

「好きなんです、夏目さんの事が……。
愛して…しまいました。」

「………そう。」

実の所、曖昧な返事を返したのは視えたからだった。
そーたんからのボクへの気持ちが。

ボクは知らなくていいって、
それでも言ってきた。

…ううん、ボクもそれだけしか拒否しかしなかった。

もしかしたらボクはそーたんにそう言われたかったのかもしれない。

「…迷惑ですよね」

「そう思うんだ?」

「…すいません。」

「どうして謝るのー?……ボク、嬉しいよ…?」

「…え、」

そう言ったら予想してなかったのか珍しく顔を赤くしたそーたんを見れた。




*日常的なバレンタイン



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双→残からの実は双→←残、結果双残。
な、バレンタイン。

バレンタインは過ぎましたがバレンタインネタ。




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