夜が終わってしまうのが怖くて身をちぢめた。朝が来る。万物を照らす光はおそろしく、俺の弱さや無学さ、汚らわしさをこれみよがしに露呈でもしているような気分になる。誰にも見劣りしないようにみがいた瞳がぎらぎらと金色を宿すのは夜だけなのだ。握ったナイフは冷たく光るけれど、もはやそんなのでは心許ない世界なのだということは知っていた。湿った肉付きの良い手に握られた、まあるい銃口はいつでもこちらを見ているのだ。それでもオレは夜に潜んでは影からすらりと掠めてく。夜だけは裏切りはしない、信じ得る最高の仲間だった。暗がりの中でなお黒く光る拳銃だけを残して俺は満月の下を跳ねるのだ。汚らわしいと罵倒されても構わない、そうしてオレは確かに生きている。てらてらと血と脂で汚れたナイフを拾う者なんていないだろう。なまぬるい吐息が首を汚した昨夜の全てはもはやオレ以外の誰ひとりとして知らない知るわけもない些細な出来事なのである。

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