(数年後設定)


真昼の月のようにゆるやかに淡く色付いた部屋で私はひとりだった。ささやかな熱がとけた空気は肺で冷やされてまた吐き出される。木目の浮いたいびつな椅子に腰掛けて見上げた天井は低かった。鳥の声がする。揺らぐことのないカーテンは世界から部屋を孤立させていた。漏れ出る光はさながらここから救い出そうと差し延べられた腕のようだった。
「おそろしい」
呟いたそれは確かな重みをもって沈んでいく。床に転がる言葉たちは全てがすべて真っ青な憂いを着飾っていた。あの頃よりもすらりとした指先に張り付いた爪は同じような青に変色してぶら下がっている。いつからか爪を噛む癖がついた。それを咎める彼は今いない。
「青い」
指先が侵食されて、爪先からのぼってくる。真っ青になった私でも彼は愛してくれるのだろうか。否、愛してくれているのだ。それがひどく恐ろしい。真っ青になった私は今も真昼の浅瀬のような部屋にたゆたうように沈んでいる。

青いサカナ
(ヘッジ)


数年後スコヘジうますぎてうますぎて初めて書いた文がこれってどういうことなの…
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