ひどく心がむず痒いのだがどうにかしようと掻きむしると途端に痛みと熱を帯びてしまう。難儀なものでそれは例えるなら堪えられぬ数字の1への欲求のような。つまり俺は何事に対しても堪え性のない人間だったということなのか。気に入らない。「もうやめてくれ」うす暗い片隅でひどく情けない声で鳴いた奴。やめられるのならとっくにやめていると切なぶって呟いて、俺はまた爪を立てるのだ。

赤いマニキュアの男
(ミストレとエスカバ)
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