夜が終わって騒がしい朝がやってくる。「朝はまだか」と呟く彼の視界はいつまでも黒塗りのままだ。その朝が来たのだと何回言っても彼は一切の聞く耳も持たない。夜ばかりが巡る世界で今日も彼はひとりぽっちである。濁ってしまった瞳が視力以外のなにかを宿してこちらを見据えても俺にはなにもできないのだ。彼の夜に星を落としてやれたなら、とこぼれた涙はかの夜に波紋も起こせやしない。落ちた鳴咽にやさしい彼は「泣いているのか」と聞いた。ああ、泣いているよ。彼と同じくひとりぽっちの俺は、穏やかな夜を願ってその両耳をふさぐことしかできないのだ。


(ビオレテとデモーニオ)



原作ではデモーニオの視力は回復しました…よね?
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