ガツンと後頭部を一発。俯せに倒れながら仰ぎ見たのは逆光で真っ黒になったスコップだった。こんな邪魔くさいものを持ち歩いている人間なんてこの雷門中にはひとりしかいない。のばそうとした腕はしかし、そのまましずかな地面に落ちた。

「済まない、しかし大事なものは隠さないと」

そう呟いた彼の声は、やけに冷たくゆるやかだった。まるで誰も触れない踏まない気にしない、このまったいらな地面のような。

彼はわんと鳴く
(穴沢と誰か)
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -