きゃっきゃきゃっきゃと小煩いまっ黄色した歓声が大嫌いだ。それに笑顔で返すこの男はもっと嫌いだが。
「相変わらず人気者だねパンダさん」
「ブッ殺すぞ」
怖いなぁその言葉、あの子たちが聞いたらどんな顔するだろうね。珍しく饒舌なレオンはいつも通りに中途半端につりあがった口でそう言った。こいつの目は笑わない。
「何だか面倒になってきたな」
「じゃあやめれば」
「竹夫もやめるなら考えてあげる」
女受けの良い笑顔に向かって舌打ちした。こいつは俺を馬鹿にしているのだ、竹夫はプレイが荒いからベンチなんだよ、そう言われたときには本当に殺してやろうかと思ったが。
「俺はやめない」
「なら俺もやめないさ」
「早く死ねば良いのに」
「竹夫もね」
だがしかしろくに知りもしない人間に勝手なイメージを抱いて囃し立てて盛り上がる馬鹿共よりはいくぶんかましだろう。ずっしりと重いスポーツバックには確かに野生と書いてあった。俺はここの頭の足らない田舎者の馬鹿共が、それにこの男のことも嫌いだったが割と気に入っていたのだ。一日に一本しか出ない列車は随分と錆びた色をしているが、途中で乗り換える電車はきっと鋭利な刃物のようにぎらぎら銀色に光っているのだろう。そんなものに恐れをなすほど頭が良かった覚えはない。
「それじゃあ行こうか」
「ああ」
一度は終わった季節がまた動き出した。手を振る馬鹿共ににこやかに手を振り返すこいつも、それから目をはなせない俺も馬鹿だ。無能だ。そも知能のスペックが足りてない。所謂勘だけで生きてきたからだ。これからも、きっとそうだ。
「雷門ではスタメンになれると良いな」
「苦しんでから死ねよ」



全作通して竹夫とレオン引き抜いた記念。竹夫ですか?勿論スタメンです^^
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