○夏目健二
「うーわ、だっりい」
「浮かん顔しとるのお」
図書室の机にひれ伏す私、その向かい側に編み編みのコーンロウ男が座った
「二次方程式?お前こんなん勉強しとんのか」
「うん、苦手だから」
「課題か何かか?」
「チガウヨ、受験です」
「受験?」
首を傾げる健二に『大学受験』と付け足すと、どー見ても受験するヤツの教科書には見えんよ、と笑った
無理もない。私の教科書は落書きがいっぱい。最初は端に控えめに描いていたがそれだけでは満足せず、なんと問題が書いてあるその上からキャラクターや自分の心境などをつらつらの描いてしまった。気付いたらまぁ大変。8か6か分からないじゃないか!+かーか分からないじゃないか!
こんな教科書で勉強が捗るはずもなく、かろうじて読める問題をピックアップして解いていく。とまぁこんな感じの勉強法で頑張ってる
「はあ…」
「………」
「だりー」
「………」
「受験したくないよー、大人になんかなりたくないよー」
「頑張れ」
「それだけー?手伝ってくれよ」
「手伝うことなんてないじゃろ」
「あるよ」
「たとえば?」
「んー…… 落書きで読めなくなった問題の解読とか?」
教科書、落書き満載
私をちらり見たあと、貸してみぃと奪われたのは教科書とシャーペン
「手伝ってやるんじゃけえ、受からんかったらアカンで」
「が、がんばりまーすっ」
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