軟骨のピアスを開けたくて、でも自分でやるのは怖いし、友達も上手くやってあげられる自信ないって言う。
どうしても諦めきれなくて、どうにか開けてくれる人を探していた時に偶然見つけたピアスあけます!と書いてある看板のお店。
「こ、こんにちはー…」
「…おー!お客さん?いらっしゃい!どうぞゆっくりしてってなあ〜」
「…あの、ピアス…開けてもらえるんですか?」
「ん!開けるよ!自分どこ開けたいん?」
「…軟骨を……」
「アバウトやなあ!上の方とか下の方とかあるやろ」
「う、上で……」
「おっし、んじゃあ準備するから待っててなー」
お店の奥から出てきたのはキンキンの髪の毛の男の人。耳にはたくさんのピアスがジャラジャラと付けられていて、洋楽が大音量で流れる派手な店内とよく似合っている。
「スタジオは初めてやろ?」
「あ、はい…(関西弁だ…)」
「まあ一瞬やから!あんま緊張せんとリラックスしといてや!」
「は、はいっ」
位置を決めて、料金やアフターケアなど軽く説明を受けたところで、二ノ宮さん(さっき名前聞いた)と向かい合わせに座る。き、緊張しないでリラックス……ってこんな針見せられて緊張しないわけ、「行くで」ぶち!
「いっ!…たくない…あれ…?」
「ははっ!せやろなー、実はあんま痛くないねん!」
あ、ちなみにピアスも通ってるで、鏡見てみ?と二ノ宮さんは笑いジワを作りながら言った。
あ、ほんとだ、ピアスついてる。え、はや!思ってたのと全然違う!
「どや!俺ピアッシングうまいやろー?すごいやろ?」
「はい!すごいです!」
綺麗に空いた穴にピンクのジュエリーが光った。
「ちなみにそこの場所、俺とお揃いやん」
派手な出で立ちとは裏腹に、にししっと歯を見せて笑った彼は小さい子供みたいだ。「行くで」と低く発した真剣な声とその表情とは真逆。
危うく、その素敵なギャップにやられそうになった…。
「自分緊張しぃやな〜」
「だ、だって…」
「あかん俺、ナマエの可愛さにキュンとしてもおたわー!」
「〜〜〜!!」
や、やられたっ!
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