027 (10/23)
お、ナマエ二年と一緒に出てるべや。
青のビブスを着なおしたナマエは、駆け足でコートの中心に並んだ。
「よろしくお願いします」
ナマエはちっと控え目なところがある。
我を通さないとゆーか、周りに気を使えるやつ。まあ、だからポイントガードに適役なんだろうけどさ。
「ナイスパス!いいぞミョウジ!」
監督のでかい声はナマエにも届いた。
「ありがとうございます!」
相変わらず礼儀も正しい〜。
でも、あれ。俺とプレーしてる時は、もっとドライブインもしてんのに。
今はパスばかり。たまに狙ったシュートも外から。
あれれ〜、なして?手抜いてんのかや?
「もっと展開早くしろ!」
「「「はい!!!」」」
レギュラーメンバーは速攻主体か。
リバウンドからのスリーメン、女子は足おっせーなあ。
「ナイッシュウ!」
「お前らは高さないんだから、スピード勝負だ、スピード!」
「「「はいっ!」」」
レギュラーチームに監督の怒号が飛ぶ。
「二年も速攻やられそうになったら全力で追うんだよ!ちんたらしてんじゃねえ!」
「「「はい!!!」」」
監督、意外とこえー。普段は呑気そうな顔してっけど。
「おいミョウジ!好きにやれと言っただろう!」
「はい!」
おーナマエ怒鳴られてるーゥ!
「中ボール持ちすぎだよ!一回戻して!」
「先輩!」
中から外。戻ったボールを受け取ったのはナマエ。
ミートからのスリーのフェイク。ナマエのマンツーがブロックに飛んだ脇を、ドリブルで抜いた。
「ごめ!カバーお願い!」
センターがカバーに入ったところで、ナマエのバックロール。
完全フリー、そのままレイアップで持っていく。
近くにいたハセガワから「おおっ」なんて声が聞こえた。
「シュウッ!」
「いいぞミョウジ!そうだ、それでいい」
「はいっ」
「〜♪ いい動きさね」
ブザーが鳴った後、レギュラーメンバーに囲まれたナマエは終始笑顔だった。
「抜かれたときはびびったよー」
「ミニバス経験者?動けるね」
「次のゲーム、うちらのポイントガードやってみなよ」
「は、はい!」