変なトラップを置いておくんじゃなかったと、置いた張本人は舌打ちをした。


『ごめんってばクルルー!』
「隊長ォ…分かったから、さっさと見つけてロック解除してくれ」
『了解であります!』


トラブルメイカーの緑の隊長によって、秘密基地のトラップが盛大に機動して。
何故かそれは本人ではなく、遊びにきていたサブローと、トラップを用意したクルルの2人を転送してしまった。
転送先は、秘密基地のどこかの部屋。


「見つけてもらうまで、時間かかりそうだね」
「…狭い」


何のための部屋なのかよく分からない、かなり狭い空間に飛ばされてしまった2人だけれど、大して驚くでもなく、焦るでもなく。
サブローはいつもと変わらない様子で笑うだけだ。


「しばらく待機だなァ」


特に問題があるでもない。
2人揃って座り込み、どうやって時間をつぶそうかと考え始めたところで、こつりと背中に何かがあたった。


「…何してるのクルル」
「んー」


ちらりと振り返ると、金髪がもぞもぞと動いている。
もたれかかっているだけならいいけれど、両手はごそごそとサブローの体を探っていた。


「退屈は嫌だろォ?」
「でも、皆ここ探してるんだけど?」


誰がいつ飛び込んできてもおかしくないのに。
そう抗議すると、紅い瞳が意地悪に笑って見せた。


「クックック」
「ひゃっ」


途端にぎゅうときつく抱きしめられて、あぁこいつは嫌な奴だった、と改めて気づかされた。
小さくもがくと、クルルはするりと前へと回ってくる。
目と目があう。思っていた以上にクルルの目は本気で、思わず動きをとめてしまった。


「ずるい、んっ」
「…何とでも」


そういえば、こうして2人きりになるのは久しぶりだったような。
気づいてしまうと、サブローはため息を1つ。
間近に迫るクルルの顔を見つめていると、いいかな、なんて。


(みんな探してるけどさ)


「…クルル」


白衣をく、と引っ張る。
もう一度重なる、視線と視線。
クルルがなんだか嬉しげに見えたのは、気のせいじゃない。


「サブ、」


「お2人とも発見しました!ていうか危機一髪?」



ゴッ!



どこにあったのか、自動で開いた扉から飛び込んできたモアの声と、部屋に響いた鈍い音。
部屋に入ったモアが見たのは、頭を押さえて悶絶している件の2人。
クルルの眼鏡には、盛大なひびが入っている。


「あ…モアちゃん…」
「怪我されたんですか!?ていうか救助要請?」
「いや、大丈夫…」
「クゥ〜…」


キスをする直前、入ってきたモアに反応したサブローが猛烈な頭突きを見舞ってしまった。
なんて流石に言えない2人は、情けない涙目だ。


「クルル、ごめんね…?」
「…覚えてろよォ」
「あは…」


思ったより低いクルルの声に、やってしまったと思っても後の祭り。


「続きは、隊長しばいてからだぜェ」
「…続きは、するんだね」




***

ましろ翠様へ25623hitでした。
頂いたリクエストは『密室で2人きりになるクルルとサブロー』でした。

頭突きをかまして涙目で転げまわるおばかな電波が…書きたくて…。
すいませんでした!

2010,1,11
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