久しぶりにサブローの家に遊びに行く。
日付が変わる、ほんの少し前。


「サブロー」


小さな体を抱きしめると、珍しくもサブローは首を横に振った。


「今日はだめ」
「何でだよ」
「疲れちゃったから」


1日中、公開録音だの打ち合わせだので忙しかったのだとか。
それは仕方ないと思うけれど、クルルとしては面白くない。
何のために仕事をさっさと済ませてきたというのか。


「もう眠いんだよ」


サブローもなんだか機嫌がよくないらしい。
クルルの腕からするりと逃げると、さっさとベッドに入ってしまった。
ますます、面白くない。


「おやすみ」
「ちょっと待ちなァ」


後を追うように、クルルもベッドに潜り込む。
サブローが文句を言う前に、彼の唇を塞いでやった。
逃げ出す前に舌を入れてしまえばこちらのもの。


「ふ、…っ」


しばらくそうしてから、ゆっくりと離れていく。
うっすら涙の浮かんだ瞳が、困ったような光を灯していた。


「今日はだめって言ったじゃん」
「それは昨日だぜェ?」


時計の針は、12時をわずかに過ぎていて。
それをちらりと見たサブローは、ため息を1つ。けれど、機嫌は直ったようだ。


「屁理屈じゃない?」
「正論だろォ」
「そうだけど…」


降参、と小さく微笑んで。
一緒に寝るだけならいいよ、と眠そうな顔で囁いた。





***

なんだかんだ言ってサブローくんもクルルに甘い。
2015.1.29
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