ただいまぁと声をかけつつ、ばさりと白い帽子を脱ぐ。
それを横目で見ながら、あぁと思った。
「あぁ、クルルきてたんだ」
「…髪」
「え?なんかおかしい?」
「伸びたなァ」
いつもは帽子のせいで気づきにくいけれど。
ゆるりとした灰色は、彼の耳を覆うくらいの長さになっていた。
頬にかかる髪を指先でいじって、サブローは苦笑した。
「そうかもね」
切ろうかな。いっそイメチェンしちゃおうか?なんて。
話しながら、指でついと髪を耳にかける。
その、仕草。
「色っぽい」
「は?」
いつになく素直に言葉が零れた。
あまりにも唐突な一言だったからか、サブローの瞳がきょとんと丸くなる。
色気のある仕草と子供っぽい反応の差が、なんだか面白い。
「え?何が」
「髪かけんの」
「…そういうのって、女の人に言うことじゃない?」
「クックック」
照れたように俯くと、かけていた髪がぱさりと落ちて。
それもなんだか、悪くない。
「伸ばせばァ?」
「遠慮しとくよ」
***
色気もあどけなさも兼ね備えるサブローくん。
2015.2.19