「変なやつ」


そっけなく言い放つイタクから、目が離せない。
言われたことよりも、何よりも、彼の表情に釘付けになった。


(今のって)


ふ、と。
彼の中でいつだってぴんと張っている、鋭い糸が緩んだみたいに。
ほどけた、それ。


「…首無?」


口元が、どこか柔らかく、でも少しぎこちなく、小さく弧を描いて。
大きな瞳を、ほんの少しだけ細めて。


(イタクが笑った)


「何ぼーっとしてるんだ」


あまりに唐突で、分かりにくくて、でも気づけたそれ。
いつかは見たいと思っていた表情。
曖昧なそれは、想像していたよりも、ずっとずっと。


「…なんでもないよ」


あぁ、好きだな、と感じた。



***
首無さんがべた惚れです。

2014.12.12
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