(どうしたらいいんだろう)
元々、他人に頼ることは少なかった。
今までは、たった1人の仲間がいただけ。
その友人を失った先に、たくさんの仲間を得た。
何よりも大事なパートナーもいる。
ヒカリがいれば、ゆるりと心が穏やかになる。
「テイルモン」
だからこそ、今、考えてしまうのだ。
「どうしたの?」
「…何でもない」
ヒカリの膝の上に座った状態で、テイルモンはなんだか緊張していた。
なにしろ、初めてなのだ。
(甘える、なんて)
「テイルモン」
「!」
だから、おなかの辺りで組まれたヒカリの腕と、背中に感じた体温に、驚いてしまった。
ぎゅうと抱きしめられる感触。
嫌じゃない。ううん、嬉しい。本当は、とてもとても、嬉しいんだ。
「甘えてほしいな、テイルモンに」
「私に?」
「そう」
伝わってくるヒカリの温度が心地いい。
あぁ、幸せとはこういうものなんだろうか。なんて。
今まで考えたことのないことが、頭に浮かんだ。
(こんなに、胸があたたかいの)
体の力を抜いて、とんとヒカリに背中を預ける。
くすりと降ってくる笑い声がくすぐったい。
「ありがとう、ヒカリ」
何故だか自然と、笑えていた。
***
しっかり者なテイルモンが甘えられるのは、ヒカリちゃんだけだといい。
2015.1.28