空調完備のラボの住人は、大袈裟なくらい気候に弱い。
「寒い寒い」
「うわぁっ!」
冷え切った身体で相棒にしがみつくと、サブローは読んでいた台本を取り落とした。
クルルは気にもとめずサブローの身体にひっついて離れない。
「も、やだ!冷たいよクルルは!」
「うっせェ…お前が子供体温だからだぜェ」
「ちょっと平熱が高いだけだろ」
「あー、ぬくい」
「…寒いよ」
冷たいクルルに背を預けて、サブローはため息を一つ。
こうなったらクルルはどうせ離れてなんかいかないのだから。
「クルル…ひんやりしてる」
「ん?ならあっためてやろうかァ?」
「どうやってあっためるつもりだよ…」
「おら」
「んっ」
振り返れば深い口付け。
貪るようなそれは、サブローの身体に火をつける。
「…、クルル」
「ん?」
「いつも、そればっか…」
「すぐにへばるお前が悪い」
クックックッと笑う顔は、もはやクルルの定番で。
言い返すのをやめて、仕返しと言わんばかりに体重をかけてもたれかかる。
冷たいはずのクルルが、少しだけあたたかい。
***
クルルは冬も夏もへばってる。
2012.1.30