日向家のリビングにいる時は、よく床に座り込んでノートパソコンをいじっている。
ソファを陣取る時もあるけれど、パソコンを持っているときは大抵床だ。

「よいしょ」

そうしてクルルが床に座っていると、サブローもすぐ近くに座り込む。
今日は、背中合わせになるように。

「んー?」
「いいでしょ?」
「クク」

適当な会話だけれど、2人の間ならば自然と繋がる。
それが何よりも心地よいと思うのだ。

「…いいよね」

クルルの背中にぐっと体重をかけながら、サブローはぽつりと言った。
ちらりとクルルは相棒に一瞬目を向け、彼の視線の先を追う。

人の集まる日向家のリビングには、今日も皆がいる。
仲の良さ。
隣に並んで座るのも、抱きしめるのにも、触れ合うのにも。
固い絆だとか、愛しさだとか、そういう思いが溢れてみえた。

「ふふ…」

優しい瞳で、それらを愛でて、サブローは笑った。
普段、自分たちはそうしたスキンシップを人前ではとらない。
馴れ合わなくても、揺るがぬつながりが確かにある。

それを互いに心得ているから。

(電波ってやつかねェ)

グッと、クルルの方から背中を押し返した。

「どうしたの」
「別にィ」
「ふーん」

サブローも押し返す。また、力を込める。また。また。
子供のような、繰り返し。

「あはっ」
「ククッ」
「2人とも、何してるんでありますか?」

自然とこぼれた笑い声を拾い上げて、ケロロがふいに声をかける。
電波コンビは何でもないように声をあわせてみせた。

「何でもないよ」
「何でもないぜェ」

背中と背中。互いの顔はうまく見れないけれど。
それだけで充分だ。



***
クルサブが、というかケロロファミリーが好きです。

2013.8.28
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