帽子の中から滑り落ちる、甘い色をした髪が、大好きで。
「ミミの髪、綺麗ね」
「そうかしら」
風が吹くと、ふんわりふわふわ、柔らかく揺れる。
それが時々、くすぐるみたいに己の顔を撫でるのが、また。
(とても、いい匂いがするの)
するすると、彼女の髪に触れる。
柔らかで、どこかあたたかで、そしてしなやかで。
何故だか心地よくて、何度も、何度も撫でた。
「くすぐったいわ、パルモン」
「もうちょっとだけ」
くすくすと笑う声も、お日さまを反射する、澄んだ茶の色も。
心地よくて仕方がない。
だから、だから。
もう少しだけ、触れていたくて。
(だって、全部ミミなんだもの!)
***
帽子を脱いだときにふわっと落ちるのが好き。
2015.4.5