クルルの髪、結ってあげる。
そう言ったサブローの、なんだかきらきらした笑顔に、どうしても逆らえなかった。


「ヘッドフォン外してね」
「へいへい…」


伸びた髪をほったらかしにしていたのが、サブローの目にとまってしまったらしい。
綺麗な髪なのにもったいないと連呼されるのが面倒になり、しぶしぶ弄ることを許した。
内心、嫌でもないのだけれど。


(嬉しそうにしやがって)


櫛で丁寧に髪を梳く。
髪が首筋で揺れるのと、サブローの指が触れる感覚が、どこかこそばゆい。
性に合わないと思いつつ、逃げないのはきっと、相手がサブローだから。


「綺麗な髪だよね、いいなぁ」
「さっさとしなァ」
「はいはい」


髪に触れられるのは、悪い気分じゃない。
優しい感覚に、全身の力が抜ける。
癒される、とはこのことかもしれない。


(悪くない)


とろん、と目を閉じた。





「はい、できた♪」
「おー…クッ」


終わりの合図と共にゆるりと目を開けると、すぐ間近に迫っていたサブローの瞳と目があう。
思い切り顔を覗きこまれていたらしい。
全く気づかなかった自分自身に、少し驚いていた。


「…何」
「クルル、気持ち良さそうな顔してたから」


にこにこ。機嫌の良さそうな笑顔を見ていられなくなって、クルルはふいとそっぽを向く。
気の抜けた顔を見られていたと思うと、らしくないくらい、恥ずかしい気がして。


「そんなに俺上手だった?ねぇねぇ、ちょっと、何すんの」
「うるさいぜェ〜」


さらにぐいぐい近づいてくる頭に手を置き、ぐいっと逆の方向を向かせる。


「…ありがとさん」


いつになくすっきりした耳元が紅く染まっているのをちらりと見て、サブローは笑ってしまった。
クルルが気づいているかは知らないけれど。



***

悠依様へ24326hit記念でした。
いただいたリクエストは『クルルがサブローに照れながらお礼を言う』でした。

照れるとそっぽ向くクルルとぐいぐいいくサブローくん。かわいい。

2009,11,22
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