(サブローくんが最初から女の子設定です。でも基本はそのままです。苦手な方は注意!)







作戦会議もなく、いつになくのほほんと軍曹ルームのちゃぶ台に集まった、五色の五人。
それぞれの色とマークの湯のみを傾けつつまったり過ごす彼らは、軍人には全く見えない。
そののんびりした空気をぶった切ったのは、タママの一言だった。


「そういえば、サブロー先輩が告白されたとか」


桃っちが言ってたですぅ。
途端にぴきりと空気が止まった。


「……ん?」
「クルル、顔」
「恋バナってやつですぅ」


不良だ何だと言われていたのも、気づけば昔の話になっていて。
整った顔立ちに綺麗なスタイルは、元々学校でも有名だった。
夏美たちと親しくなり、クラスにも友人ができ、馴染みやすいと分かった途端に、一気に株が上がったらしい。


「夏美も話していたぞ」


最近、サブロー先輩の人気が上がってるみたいなのよね。とか。
ダン、という不機嫌な音は、クルルが乱暴に湯のみを机に置いた音らしい。


「………は?」
「クルル殿、ひどい顔でござるよ」
「サブロー殿、美人さんだもんねー」
「…否定はせんが」


むしろ、今までモテなかったのが不思議なくらいなのだ。
浮世離れした容姿も性格も、人の目を引くには充分すぎる。


「小雪殿が言っていたでござる」


サブローさん、最近とっても綺麗になった気がするの。
いい匂いがするんだぁとふわふわ笑っていた己のパートナーを思い出して、ドロロは1人、表情を緩ませる。
その隣で、不穏な空気を漂わせている黄色が1人。


「……………あ?」
「クルル先輩、悪人面ですぅ」
「た、確かに最近少し変わったような…」
「あれだよね。女の子が急に綺麗になる理由ってさー」


恋、だよね?


「……………あ゙あ゙?」
「だって良く言うでありましょー?サブロー殿、きっと好きな相手とかできたんでありますよ。ずばり、夏美殿たちの噂の相手げろぉっ!?」


ズゴン。
調子よく喋っていたケロロの顔面に、鈍い音を立てて黄色の湯のみがのめりこむ。
放ったのは、勿論凄まじい顔をしたクルルだ。


「ちょっと潰してくる」


何を、ていうか誰を、だなんて、恐ろしくて誰も聞けない。
それだけぼそりと呟いて、白衣はスタスタと軍曹ルームを出て行った。
タママがつんつんと倒れた軍曹をつついて見るも、白目を剥いたまま動かない。


「触らぬ神に祟りなし、でござる」


納得した三色は揃って頷き、湯のみを傾けた。









「あぁそれ?断ったよ」


息巻いて学校までやってきたクルルを前にしても、サブローはさらりと微笑んだ。
ここでひるまない辺りは流石である。


「……」
「何その顔。当たり前だろ」


確かに告白はされたけれど、丁重にお断りしてしまった。
理由は、言わずもがな。


「俺が好きなの、クルルだもん」


知ってるくせに、ね。
悪戯っぽく笑う顔を見ていると、イライラしていたのがスッと引いていく。
我ながら単純だ。


「…帰るぜェ」
「はいはい♪」


珍しく、ぐいと引かれた手に、サブローが嬉しそうな声を上げた。



***

みお様へ24966hit記念でした。
いただいたリクエストは『♀サブ総受け・ギャグ』でした。

クルサブ♀がもう成立してます。だらだらしてる小隊が好き。

2009,12,23
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