背中にずしりとくる重みに、くすりと笑う。
肩の辺りで、風にゆるりと揺れる金色が踊った。
日向家の屋根の上でひなたぼっこをするのはいつものことだけれど、その日は珍しくクルルも上がってきた。
他愛のない雑談の間に、座っていたサブローの背に体重をかけてきて、そのままだ。
背にもたれかかったままで、眠ってしまったらしい。
「サブロー殿、…とクルル殿?」
「やぁドロロ」
スタンと音もなく近くに降り立つ青い影。
サブローは驚くことなく、ふわりと笑って挨拶した。
彼が屋根にいるのはよくあること。けれど、その後ろにいる彼は、珍しかった。
「ひなたぼっこでござるか」
「そうだよ」
苦笑しながら、サブローが人差し指を立てて、唇にあてた。
「起きちゃうから…」
笑って、微かにサブローの身が揺れても、後ろの白衣はぴくりとも動かない。
よほど深く眠っているのだろうか。
聞こえるか聞こえないかの寝息は、風に隠れて分かりにくいけれど。
「珍しいでござるな」
クルルの寝顔を、見たことがない。小隊の皆がそうだろう。
他人に身を預けて、心安らいだクルルなど、母星でも見たことがなかった。
地球にきて、相棒と出会う前までは。
「クルル、ひなたぼっこなんてしないもんね」
「それもでござるが…」
「うん?」
「いや、なんでもないでござる」
きっと、サブロー以外の誰かが近づいたら、クルルはすぐに目を覚ますだろう。
寝顔を覗き込めるくらいの距離なんて、暗殺者のドロロでもできないに違いない。
なのに、目の前の小さな少年だけが、それができるのだ。
もぞもぞと身じろぎするクルル。それでも眠ったまま。
サブローがくすぐったげに笑った。
(良かったね、クルルくん)
ドロロはふっと、口元を緩ませた。
***
ドロロが、ふとした時にゼロロの口調になるのってよくないですか。
2014.1.14