prologue [ 1/1 ]
『うーん。
朝か…』
朝の優しい光を浴びながら体をほぐす様に、伸ばす。
「いる?」
そう呼ぶ声を聞き、咲犂は玄関に向かう。
『もしかして、はやて?』
「咲犂は良くわかるなぁ。
壱那さんが朝食つくっててな、咲犂も食べるやろ?」
『もちろんだよ』
「いこか、咲犂」
『直ぐたけど、押していくよ』
つい、にこやかに微笑み。
咲犂ははやての車椅子を押し始めた。
『壱那さん!
はやて連れてきたよ』
「咲犂ちがう、逆!」
『分かってるよ』
「壱那さん、手伝いますよ」
『はやてがするのなら、わたしも』
「構わないわ、二人はゆっくりしてなさい」
壱那さんがそう言うと、二人でテーブルに座り話した。
久々だったから話が弾んでいた。
わたしとはやては、身寄りがいないせいで、壱那さんに面倒を良くみてもらっている。
はやてと会えたのも舞夏さんのおかげ。
「はい、出来たよ」
並べられた朝食を、話しながら食べ、わたしは学校へと向かって行く。
『行ってきます』
「行ってらっしゃい」
「きいつけーな」
これがわたしにとっての大事な時間…
始まりは、ほんの少し先…
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