6.タブレット
浴室からシャワーの音が響く。
サスケが戻って来るまでに心臓を落ち着かせようと、ナルトはTVのリモコンを手に取った。
ボタンを押して夕方の情報番組をいくつか通過すると、画面が有料放送に切り替わる。
普段見ることのない、いかがわしいものばかり放送するチャンネルをまたいくつか通過した。
あるチャンネルに来たところで、ボタンを押すナルトの手が止まる。
「この人すげーかわいいな、エロビデオってこんなかわいい人も出んのか」
思わず一人ごちてしまうほど魅力的な、俗に言うAV女優が下着を脱がされながら気持ち良さそうに愛撫を受けていた。
撫でられつつかれ、喘ぎながらひくひくと腰を震わせる姿に見入る。
浴室のドアの開く音がすると、落ち着きかけたナルトの心臓がまた跳ね上がった。
サスケは体を拭いたタオルを腰に巻いただけの格好で出てくると、どさっとベッドに腰かけた。
「一人で見てたのか」
ナルトを抱き寄せながら、ローブの裾から手を滑り込ませる。
「ちゃんと入ってんのか? やっぱりゴム使った方がいいだろ」
下着も何もつけていないそこには簡単に指が辿りついた。
サスケの問いかけに、ナルトはふるふると首を振る。
「中でして欲しいってば……」
ナルトの表情と声に、サスケはゴクリと喉を鳴らす。
焦れるように、ナルトの狭い入口に指を這わせた。
「あっ…」
「もう濡れてる。こんなエロいの見てるからだ」
「違…あぁっ」
サスケは指を奥まで入れずに、滲み始めた蜜を掬って塗り広げた。
正確には、ナルトがそんな状態になっていたのはTVのスイッチを付ける前から。
したことないことをして欲しい、というナルトの言葉にサスケが押し切られるように頷いたのがはじまり。
部屋に入ってすぐナルトがシャワーを済ませると、真新しい薬のシートから錠剤を取り出した。
最初は自分で試みるもうまくいかない。
最終的にサスケの協力を得てうまく奥まで挿入した。
首尾よく薬を入れてもらえはしたけど、前戯のようなものを中断したままナルトを置いてサスケはさっさと浴室へ向かってしまった。
それからどうしても下半身が疼く。この薬は媚薬でも何でもないのに。
「サスケがあんなことするから……」
「痛くて入らないって言うからだろ」
TVを消そうとサスケがリモコンを手に取ると、ナルトはサスケの腕に触れてそれを制した。
「……見ながら…おんなじようにして……」
潤んだ目で見上げられて、サスケは黙っていうことを聞いた。
まったく、こんな顔で言われたら反論できるはずがない。
ナルトのローブは前が肌蹴たまま完全に脱がす余裕もなく、サスケは腰に巻いたタオルを引き剥がしてその辺に放り投げる。
同じようにと言われて、一応画面の中と同じように愛撫を始めた。
「ん……あっ…」
ナルトは眉をひそめてサスケの手に自分の手を重ねる。
少ししか触っていないのに、ナルトの中はもう蜜濡れてローブに染みをつくっていた。
サスケはナルトの顔と画面を交互に見る。
本当ならナルトの反応だけ見ていたいのに、「あんなんやったことねーし」と口の中で小さく言ってから、片手でナルトの腰をしっかり支えた。
秘裂を指で広げて、ぷっくり膨らんだ芽を剥き出しにする。
敏感な状態のそれを強めに弄った。
「あっ、あぁ…いや……」
「ナルト、大人しくしてろ。うまくいかないだろ」
強すぎる快感に、ナルトは腰を捩ってイヤイヤする。
気持ち良すぎてどうにかなってしまいそうで、足を閉じようとしてもサスケの腕にしっかり押さえつけられて動かない。
「こうか? 違うな、なんであんな風に出るんだ?」
「もう、サスケ……ダメ…」
快感にのたうちまわるナルトとは反対に、サスケは尚も冷静に画面とナルトを交互に見る。
蜜で滑って思うようにいかず、執拗にいじり回すうち、ついにナルトは昇天してしまった。
腰をびくんと跳ねてから、ひくひくと体を痙攣させる。
サスケは「あ」と気の抜けた声をあげてから、
「今日は潮吹かないのか」
と呑気に言ってのけた。
「はえーよ、まだいっちゃ駄目だろ」
「…サスケのバカ……意地悪……」
やっとナルトの痙攣が治まったかと思うと、サスケは「ごめん」と言いながら愛撫を再開させる。
また何度か指が滑りながら、うまい力具合で充血した芽からベールが剥がされた。
「あ、出てきた」
「ひゃんっ」
指先でほんの少し触れただけなのに、ナルトは腰を大きく跳ねた。
「ああぁっ…ほんと……だめだってば……」
潮を吹かなかった代わりに涙をぽろぽろこぼしてナルトはシーツをぎゅっとわし掴む。
「そんな気持ちいいのか…」
今いったばかりなのに、指を上下させるたびにナルトは腰と太腿をひくつかせる。
ナルトの両脚を大きく開かせたまま、画面のお手本通りにサスケはそこに舌を這わせた。
「んっ……」
やわらかくて生あたたかい感触に、ナルトは思わず息を殺す。
したことないことを、同じようにしてと自分で頼んだにもかかわらず少し後悔した。
剥き出しにされた部分を舐め上げられたり吸われたりして、ナルトは二度目の絶頂を迎える。
「あぁっ…んっ……」
今度はナルトの痙攣が治まるまで、サスケは唇を離さなかった。
「はぁっ…はあっ……」
「お前やっぱり感じやすいんだな、AV女優より」
唇と手を離してナルトを開放してやる。
優しく髪を撫でられていい気分になったのも束の間、画面のお手本を見てナルトは目を見開いた。
用いられた電動機具を挿入されようとしていたから。
「…サスケ、オレあれはいいってば……」
「なんでだよ、ここにあるだろ」
いつもは開ける機会のない、ベッドの脇の冷蔵庫をサスケが開ける。
何のためらいもなく9と書かれた仕切りからそれを取り出した。
「駄目だってば…そんなの入れたら、薬が流れちゃうだろ……」
「あ、そっか……」
そう言いながら残念そうに、心底残念そうにスイッチを入れてみた。
鈍いモーター音と共に本体が振動しながらグネグネと動く。
そのあまりに生々しい動きに、ナルトは表情を引きつらせ、サスケは興味心身に釘付けになった。
「……今日は中でするのは我慢して、今度また…」
言いかけたところでナルトは露骨に不満な顔をする。
せっかく薬まで入れたのに、中でしてもらえるのを楽しみにしていたのに。
「…じゃあ…さわるだけならいいだろ?」
「……そんなに使いたいのか……」
ナルトは呆れて小さくをため息をつく。
まだ許可した訳でもないのに、サスケはナルトの片脚をかかえて濡れた部分にバイブを当てた。
「あっ……」
引きつった表情のままナルトが小さく叫ぶ。
指や舌でされるのと違って規則的で強制的な刺激。
「あ…あぁっ…」
「気持ちいいだろ?」
水源から蜜を掬い取るように上下させる。
ナルトは指を噛んで喘ぎ声を必死で押し殺した。
ナルトの反応を見て、サスケの悪戯心に余計に火が着いた。
反り上がった先端を、小さく口を開ける裂け目に滑り込ませる。
「サスケっ…」
「先っぽだけ、一瞬だけだから。いいだろ?」
ナルトが必死に首を振るのにもおかまいなしで、サスケは先端部分のモーターのスイッチを入れた。
「あああっ」
ナルトの体がびくんと波打つ。
「すげーな、これ」
「ああっ、あっ…んっ…」
入口付近をこねくり回すような動きにサスケは熱中した。
ナルトのそこに異物が入っている。
最初は予定通り先端だけ遊ばせていたのに、あまりにいやらしすぎる光景にサスケの自制心は決壊した。
振動する異物を滑りに任せて奥まで進入させる。
「ああっ、サスケ…駄目……」
サスケはぬるぬるになった内壁から出入りするのを楽しむようにそれを繰り返す。
引き抜いては奥まで刺され、背骨に響くような振動にナルトは息も絶え絶えになった。
「お前のここ、エロすぎるな…」
興奮気味にサスケが言う。
ナルトは最後の力を振り絞るようにサスケの腕を掴んだ。
「やだっ…出して、抜いて……ひどいってば……」
さっきの、快感によるものでない涙が勢いよく溢れ出る。
サスケは漸く我に返ったようにバイブのスイッチを止めた。
そっと引き抜くと、ナルトがそれを放り投げる。
ゴトンと音をたててベッドの下に落ちた。
「…ごめん」
「こんなのじゃなくてサスケのがいいんだってば!」
涙声で必死に言い切る。
「ごめんナルト…」
さすがに反省したらしく、サスケはナルトの頬に触れてから抱き寄せた。
束の間抱き合うと、ナルトの「続きして」の一声で行為が再開された。
画面の中のお手本もちょうど挿入の段階に入っている。
「薬流れてないか?」
「うん、入ってる……」
ナルトを寝かせ直してもう一度片脚を持ち上げる。
青筋が浮き出るほど硬く屹立したそれを押し当てた。
入れる瞬間の卑猥な緊張感をナルトに確認させてから、サスケはゆっくり奥まで貫いた。
「あ、あぁっ……」
十分すぎるほどたっぷり溢れた先走りとナルトの蜜液が混ざり合って、簡単に最奥部に行き着く。
大好きな感触をじかに味わうナルトの表情はさっきまでと明らかに違う。
「…サスケ…うごいて……」
ナルトの小さなおねだりに、サスケはゆっくり腰を動かした。
「ああっ…」
手のひらや骨ばった膝と同じ皮膚で出来ているとは思えない、ナルトの中。
敏感でやわらかいそこを自分の硬いもので荒々しく刺激していいのか不安になる。
さっきまで異物を入れていたというのに。
「あっ、あっ、ああっ、はぁっ」
出し入れする度にナルトの声と一緒に、ちゃぷちゃぷと水音が出る。
自分のものがナルトのそこを出入りする様にどうしようもなく興奮する。
そのせいでさらに硬度が増した。
「あぁっ…サスケの、かたい…ってば…あんっ……」
喘ぎ混じりに切れ切れに言う。
このまますれば、同時にいけるかもしれない。
「サ、スケ…」
最後の追い上げにかかったサスケの腕をナルトが軽く叩く。
いいところだったのに、サスケは焦れながら動きを緩めた。
「なんだよ」
「…最後、いく時…ぎゅってして欲しいってば……」
「……分かった」
そんなことはいつもしてるような気がするけど、改めて言われるとさらに下腹部から込み上げるものがある。
待ち切れなかったように律動を再開させると、今度こそ思い切りナルトの体を突き上げた。
ナルトは背を仰け反って、めまいがするほどのうねりを受け入れる。
「あぁっ…きも、ち…いぃっ……」
「くっ…」
ナルトの中が強く痙攣するのと同時に、サスケも一瞬腰を震わせて達した。
一滴残さず吸い上げようと収縮するナルトの中に全て思い切り放つ。
「あっ…あ…あぁ………」
念入りな前戯のおかげでお互い一番気持ちいいタイミングでいけた。
もし薬の効果もなく万が一のことがあれば、すぐに学校を辞めて働いて自分が18になったら結婚して、一生かけて愛していこうとまで、
あとから思えば幼すぎて滑稽なことを一瞬で思い巡らせるほどの快感だった。
相当疲れたのだろう、いつもうるさいほどじゃれついてくるナルトが枕にぐったりしなだれかかっている。
軽く頭を撫でてから事後処理を始めようと体を起こした時。
「サスケってば、やっぱりああいう子がいいのか?」
「は?」
サスケが振り返ると、ナルトはうっすら目を開けて忘れかけていたTVの画面を見ていた。
「肌すべすべで真っ白で胸とかおおきくなくてすんげーかわいい子」
サスケもナルトの視線を追って画面に目を移す。
「誰かに似てると思ってたってば…」
「…なに言ってんだ?」
ナルトが突然意味不明なことを言い出して、サスケは本気で理解できない。
「だって……サスケのいつもよりすんげー硬かったし…いつもより興奮してたってば」
泣きぐせでもついたのか、ナルトはうるうると目を潤ませた。
なにをどう勘違いしたらそうなるのか。
「なんでそうなんのか分かんねーけど……いつもより興奮したのはお前のせいだからな」
ナルトはいじいじと俯いたままサスケを見ない。
「お前がエロすぎるから、あとやっぱりナマだったからだ。分かったか」
意地を張っているのか信じていないのか、ナルトの反応はない。
「それでも気に入らないならもう知るか。勝手にスネてろ」
サスケはそう言い放ってナルトに背を向けて乱暴にシーツを引っかぶった。
終わってからくっつくのがあれほど大好きな奴がこの状態に耐えられる訳がない。
ナルトの意地っ張りがいつまで続くか、サスケは背後を気にしながら狸寝入りをした。
消しそびれたTVからは『顔にかけるよ』『いっぱい出して』という会話が白々しく聞こえてくる。
誰がこの女性に似ているというのか、サスケには該当者が思い当たらない。
隣で衣ずれの音がする。
「サスケ……」
もう来た、意外ともった方かと笑いそうになるのを堪えてサスケはナルトの手首を引っ張った。
「…ごめん、嘘だってば…気持ち良かったってば……」
抱きすくめられて、ナルトは真っ赤になって言う。
「オレもだ」
「わがまま聞いてくれて、ありがとだってば……」
幸せそうに言う顔が可笑しくて愛しい。
「そういえばまだしてなかったな」
「え…?」
きょとんと目を開けるナルトに口づける。
下手にお手本など作るものではなかった。
最初にしていればナルトの機嫌を損ねることもなかったかもしれない。
やわらかい唇を重ねて、舌で追いかけ合う。
あれほど思い切り出し切ったのに、もう血が巡ってくるのを感じる。
息継ぎでもするように唇を離した。
「ナルト、さっきの薬の説明書見せてみろ」
「え? なんで?」
「2回目する前にさっき出したの拭いていいのか確認する」
そう言いながらナルトの手を下腹部に触らせる。
「…やっぱ、いつもより元気だな……」
ナルトが赤い顔で言うと、サスケは少し笑ってTVのスイッチを切った。
続く