寝ても覚めても




「いいかよく聞け、エリートだかなんだか知んねーけどな」

天井から吊るした人形に向かって言う。

「えらそうにしてられんのも今の内だってば!」

そう言ってナルトは人形の腹に勢いよく拳をぶち込んだ。

サスケをかたどった不出来な人形はナルトの縫製による。

「分かったか! 分かったら寝るぞ、明日もはえーし」

ナルトは天井から人形を下ろすと、ベッドに引きずり込んで寝かせた。

その隣に寝転がって電気を消すと、ナルトはすうすうと寝息をたて始める。

同時刻、サスケは自宅でくしゃみを繰り返していた。

湯冷めでもしたかと、寝衣の上に上着を羽織ってベッドに就いた。




 一人で眠ることには慣れている、淋しくはない。

淋しいからあんな奴の人形を携えて寝ている訳ではない。

言い訳がましく鼻をすする。

「いきがってんじゃねーよ」

突然聞こえた声に、ナルトは驚いて目を開ける。

すぐ目の前に、自分と向かい合って横たわるサスケ。

「え? あれ? なんで?」

隣に置いていたはずの人形が見当たらず、ナルトは焦ってキョロキョロする。

「まさかあんなみっともない人形がオレの代わりだって言うんじゃねーだろうな」

キョロキョロするナルトの顎を自分の方へぐいっと向かせると、静かにサスケが言う。

「……いや、あれは…へへ……」

ナルトは気まずそうに笑った。

「つかなんでお前がオレの部屋にいんだってば!」

「お前が淋しいって泣くから一緒に寝てやってんだろうが」

「な、泣いてねえ!」

深夜にもかかわらず声を張り上げるナルトの唇をサスケのひとさし指が押す。

その指を、赤く充血した目もとにやった。

いつになく優しいサスケの手と表情に、ナルトは不覚にも目を潤ませる。

「これ、夢だってば……なんか分かる、夢だって分かる夢前も見たことあるし…」

じわりと滲んだ水滴は、目尻を伝って枕にしみ込む。

「オレの夢だったか?」

ナルトの瞼に口づけると、サスケはそのままナルトに密着した。

「…覚えてねーけど……」

ぽつりと答えるナルトの唇を塞ぐ。

舌を捻じ込むと、ナルトは夢中でサスケの後ろ首を引き寄せる。

髪をかきむしるように撫でて、背中にしがみついて、頭が真っ白になるほど気持ちいい。

呼吸が乱れ、息継ぎをするかのように唇を離した。

舌を舐め合いながら、互いの硬くなった部分をこすり合わせる。

衣服も下着も邪魔で、乱暴に脱がせ合う。

「あぁっ…」

サスケのてのひらに包み込まれると、ナルトは上ずった声を上げた。

感度の高まった雁首を上下に擦られて、快感に顔を歪める。

ナルトのその顔に、サスケは余計に興奮した。

「サ、スケ…ああ……」

ぴく、ぴく、と電気が走ったようにナルトの腰が弾む。

ナルトもなんとかサスケのそこに手をやると、弱弱しい手つきで擦り上げた。

サスケの表情が快感に引き攣る。

ごく自然な動きで、サスケはナルトの後頭部に手をやり、自分の腰へ引き寄せる。

ナルトは吸い寄せられるように、サスケの滾る火柱を口に入れた。

「ん…んっ……」

ナルトは夢中で、咥え込んだものを口内に摩擦させる。

先端が喉の奥に当たるほど深く。

「…っ……」

サスケの喉が微かに動く。

ナルトはサスケの肉茎を手で扱き上げながら、冠状溝を舌先で刺激した。

思わず射出しそうになり、サスケはそれを引き抜くとナルトの唇に吸い付いた。

「ふ……あっ……」

さっきより激しく口づけ合いながら、サスケはもう一度ナルトのそこに手をやる。

ぬるぬると滑らせるように、じらすように愛撫した。

「…いかせてやろうか?」

耳元に低く流れ込んでくるサスケの声に、ナルトは首を横に振る。

「はやく……欲しい、ってば…サスケの……」

荒い呼吸の合間にやっと言いきる。

サスケはナルトの頬に口づけてから上体を起こした。

ナルトの片腿を押し上げると、軽く根元を支えてそこへあてがう。

腺液をなじませるように、狭い入口に先端をぐにぐにと押し付けた。

「あ、あぁ……」

痛くてたまらない、気持ちよくてたまらない。

硬いものが侵入してくる感覚に、ナルトはたまらず声を上げた。





「うっ、うわっ」

下半身を強烈な快感に包まれて、真っ暗な自室のベッドでナルトははっと目を開けた。

「あ……くっ……」

硬くなった性器が脈動しているのが分かる。

快感と一緒に、体液が放出されているのも分かる。

「サス、ケェ……」

サスケの感触や、髪の香りや低く漏れる息を思い出して、腰を震わせながら指を噛んだ。

痙攣が収まってくると、ナルトは固く閉じていた瞼を開ける。

今の今までサスケがいたはずなのに、目の前には不出来な人形。

やっぱり夢だった。

「パンツ履き替えるか……めんどくせーな……」

そう言いながら、強すぎた快感にナルトはぐったりとベッドから起き上れないでいた。





 いざ挿入しようとした、その時にサスケははっと目を開けた。

全身にかいた汗で寝衣が体に張り付き、どくんどくんと早い鼓動が直接頭に響く。

自分のものを受け入れようとするナルトのあの声も、生々しく耳に残っている。

何故自分があんな夢を見なくてはならないのか、サスケはちっと舌打ちをした。

下半身が焼けるように疼く。

下着の中に手を忍び込ませると、そこは最大限に硬く屹立している。

先端に大量に溢れた水分が下着にうっすら染みを作っていた。

硬く張りつめた亀頭を撫でると、サスケは大きく息をつく。

今の今まで腕の中にあったナルトの顔と声を思い出すと、余計に快感が増した。

仰向けになっていた体を横にして、本格的に手淫を始める。

「…なんでオレが……」

夢の中でナルトの舌に刺激された部分を擦り上げると、あっという間にその瞬間に達した。

枕元のティッシュを引き抜いて、極限まで硬くなった性器の先端に当てる。

「…ナルト……」

強い痙攣をともなって、手の中に思い切り射出する。

相当興奮したのか、射精が収まっても性器は数回脈動した。






 翌朝、集合場所で顔を合わせても、ナルトとサスケは目を合わせずにいた。

仲が悪いのはいつものことだけれど、二人ともやたらと顔が赤い。

サクラとカカシ先生に不思議がられながら、昨夜のことを思い出しては前屈みになりそうになるのを堪えた。











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