婚前結実




※100%女の子口調にするとイタチさんに見えなくなってしまうので、原作イタチさんに則った男口調混じりで表現しています。








 いつも一緒にいた。

あまり体が丈夫じゃなくて、しょっ中熱出して寝込んでは弟を困らせた5つ上の姉。

看病は母がするからサスケは特に困らない。

困るのは、弱っているイタチの表情。

熱に浮かされて赤い頬で息を上げて、虚ろな目で名前を呼ばれた日にはどうしていいか分からない。

あの頃はお互い子供過ぎて、どうしようもなくて余計に困った。

今は違う。違うけど困る。

どうしていいか分かる今でも変わらず困らされた。



「母さん、姉さんは?」

「もうすぐ帰ってくるわよ。子供じゃないんだから、あなたがヤキモキしてどうするの」

ぴしゃりと一蹴されて、サスケは何も言い返せなくなって自室に引き下がった。


姉はもうすぐ結婚する。

遠縁にあたるシスイとは幼い頃からの婚約者どうしで、大学を卒業と同時に結婚と決められていた。

病弱な娘をよその家に嫁がせる心配や、フガクが重役を務める同族経営の会社のためという事情はサスケにも分かる。


 鞄をどさっと置いて制服の上着を脱ぐと、自分の部屋を出てイタチの部屋に直行した。

いつもふんわり甘く漂う、大好きなイタチの香り。

今日着て行く服と迷ったのか、慌てて家を出てクローゼットに仕舞う余裕もなかったのか、壁に掛けられたままの服。

サスケはそれをハンガーから外すと、人型になるようにベッドに置く。

その上に重なるようにベッドにうつ伏せた。

「………」

甘い香りが鼻腔を満たし、何も考えられなくなる。

理性の代わりに、下半身にだけ神経が集中した。

下着の中に手を滑り込ませると、ずくずくと痛むように疼く欲の茎を握って扱き始める。

滑らかな肌を想って自身を擦りつけると、薄手の生地に先走りが染みをつくった。

サスケが今こうしている間にも、どこかでシスイにそうされている。

シスイが羨ましくてたまらない、喉から手が出るほど欲しい甘美な肉体を想いながら。

独り善がりな快楽の只中に、玄関のドアの開く音がする。

ただいま、おかえりと、イタチとミコトのやり取りが遠く聞こえる。

サスケは慌てて衣服の乱れを直した。

服は着直しても、悪戯に使ったイタチの服を掛け直す時間はない。

トントンと階段を上がる軽い足音。

サスケは観念したように突っ伏して頭を抱えた。

「…びっくりした、サスケ、ここにいたのか」

「…おかえり」

「ただいま」

パチンと電気を点ける音。

サスケの体の下に自分の服が敷かれているのを見ると、イタチは数秒の間沈黙した。

あまりの気まずさに、サスケにとっては5秒が5分にも感じられる。

「……サスケ、もしかして今…オナニーしてた?」

単刀直入に訊かれて、サスケはぎくりと固まる。

イタチの口から出たその単語にも驚いた。

「…ごめん」

顔から火の出る思いで必死で言うと、むくりと体を起こす。

もつれる足で部屋を出ようとすると、「待て」と呼び止められてしまった。

「な、何だよ」

「…もう、こういうことするな。諦めてくれ」

イタチの言葉に、耳を疑う。

隠してきたつもりだったのに、密かに想いを寄せていることを知られていた。

イタチを想って、こうして何十回何百回と数えきれないほど自らを慰めてきたことも。

「知ってるだろ…来年結婚するって」

イタチは少し目を伏せて続けた。

「知ってたのか…だったら話は早いな」

サスケはそう言ってイタチを振り返ると両肩を掴んだ。

「オレはずっとアンタが好きだった」

イタチは身を捩って抗う。

「シスイと会ってきたから!」

近づいて欲しくない、今日は他の男の体液を受けてきたのだから。

そう暗に仄めかしたこともサスケには伝わった。

「シスイさんて、おとなしそうな顔して中出しとか平気ですんのか…結婚もしてないのに子供できたらどうすんだよ?」

そう言ってからサスケは舐めるようにイタチの唇に吸い付く。

初めて触れた唇はやわらかくて、また一つ思考回路を崩壊された。

イタチの体を抱え込んでベッドに押し付ける。

さっき自分で汚したイタチの服の上に。

「やだ…サスケ、やめろ!」

抵抗するイタチの両手首を簡単に捻り上げて、衣類をまとめて無理やりたくし上げる。

現れた真綿のような肌に、サスケは完全に我を失った。

豊かな膨らみを撫で上げながら、薄桃色の突起に舌を這わせる。

甘い香りと感触に夢中になった。

「あ…だめっ……」

初めて聞く声に耳の奥が痺れる。

体を小さく震わせてイタチは抵抗を諦めた。

「…ずいぶん感度がいいんだな…シスイさん今日はしてくれなかったのか?」

そう言いながらスカートの中に手を忍び込ませて、太腿を撫で上げる。

思ったとおり滑らかで掌に吸い付くような感触を楽しんでから、内腿の付け根から下着の中へ指を差し込んだ。

「!」

イタチの肩が跳ねる。

そこはもう滑り出すほど蜜に濡れていた。

「すげ…濡れてる……」

さすがにそこまで期待していなくて、サスケは半信半疑に指を引き抜いて絡んだ蜜の糸を引いて見せた。

それを直視できずにイタチは目を伏せて顔を背ける。

サスケはイタチの腰を引き上げて自分の膝に乗せると、スカートと下着を乱暴に引ん剥いた。

「もう…本当にやめて、サスケ…お願い……」

サスケの両腕を押さえる細い腕、潤んだ目。

そんな悪あがきは火に油を注ぐだけ。

「頼むからそんな顔しないでくれよ姉さん…余計我慢できなくなるだろ…・?」

秘裂に指を沿わせてニチュニチュと上下させる。

「イヤ…あぁっ…」

充血して赤く膨らんだ萌芽を擦り上げると蜜はさらに奥から溢れ出た。

「気持ちいいんだな…? そうだろ?」

サスケはイタチの腕を掴んだまま興奮しきって言う。

溢れた蜜に誘われるままずぶずぶと指を狭い入口に滑り入れた。

「あ…あっ……」

その中はやわらかくて生温かくて、出し入れする度に指に蜜がいくらでもまとわりつく。

快感に必死で耐えるイタチの表情は辛そうに見えた。

熱に浮かされている時と何も違わない。

「…楽にしてやる」

サスケはさっき到達できずにくすぶったままの自身を取り出した。

「だめ、サスケ…」

最後の抵抗を聞き入れることなく、イタチの両腿を押し上げる。

極限までいきり勃った自身を、蜜に導かれるまま突き入れた。

「ああぁっ」

抵抗できるはずがない。

一番欲しくて仕方なかった楔を打ち込まれたのだから。

飲み込んだサスケをきゅっと締め付けて奥へ引きずり込もうとする。

サスケは表情を歪めて早くも訪れた絶頂感を必死で追いやる。

サスケがそうであるように、イタチも弟を愛してきた。

報われるはずがない、結ばれてはいけない人。

いつも「この人がサスケだったら」と思ってシスイに抱かれてきたなどと誰にも言えない。

サスケが自分のベッドと衣服を汚しているのを見たときからもう濡れていた。

「すげ…気持ちいい……」

イタチの体を突き上げながら、サスケは乱れる呼吸の合間に言う。

階下の母に聞こえないように、イタチは口元を覆ってくぐもった声で喘いだ。

突かれる度にどうしても声を抑えられない。

「すげーよ、姉さんの中……すげー気持ちいい…」

転がり落ちるように律動を早める。

「…あぁっ…サス、ケ……」

体を揺さぶられながら、イタチは心底幸せそうに喘いだ。

「…んっ…嬉、し…ひんっ」

語尾は喘ぎにかき消されて、イタチはまた口許を覆う。

初めてイタチの本音を聞けた。

可愛くて仕方ない、両腕の中の人。

「あーー……すげーいい……出そう、いっていい……?」

激しく出し入れしたものがさらに硬く張り詰める。

「あぁっ、だめ、中にしちゃ…だめっ」

脚をベッドに踏ん張って体を離そうとするイタチの腰を強引に押さえつける。

「あーいくいく……」

イタチの中で極限まで硬く膨張すると、思い切り射精した。

ビュクビュクと脈動させて、サスケは恍惚に歯を食いしばる。

だめと言ったのに、結局全部中に出されてしまった。

イタチはぐったり脱力して両脚を投げ出す。

長年募らせた想いの丈をその張本人の中に気持ち良くぶち捲けた。

サスケは満足してイタチの上に重なって倒れ込む。

余韻に浸りながら暫く抱き合っていたかと思うと、イタチはサスケを押し退けて起き上がった。

剥ぎ取られた服を適当にひっかけて階下へ走る。

何事かとサスケも降りてみれば、イタチは浴室で体を洗い流していた。

バスタブの縁に片脚をかけて、指で中からサスケの白濁を掻き出している。

「今更そんなことしても遅いよ」

「は、入ってくるな!」

慌てて脚を閉じてイタチが言うと、サスケは唇の前で人差し指を立てた。

「大きな声出すなよ、母さんに聞こえちゃうだろ…」

そう言って後ろからイタチの体を抱き締める。

「さっきの格好よかったな、もう1回やってくれよ」

サスケは耳元で囁きながらイタチの片脚を持ち上げてバスタブの縁に掛けさせる。

「…や、やめ…」

「オレがやってやろうか?」

「…んっ……」

もう片方の手でイタチからシャワーを取って、ぬめりの中に指を刺し込む。

「あっ…だ、め…」

「いかせてやれなくてごめん…オレばっかり気持ち良くなって」

イタチの体越しにシャワーを浴びて、サスケの制服もびしょ濡れになった。

「ついでに一緒に風呂に入ろう。で、続きは風呂でしようか…今度こそいかせてやるから」

「…そんなこと、できるわけ…あぁっ…」

サスケの体にもたれかかってイタチはやっと体勢を保っている。

気が付いたら、悪戯をするサスケの手に自分の手を重ねていた。

「…気持ちいいだろ?」

「…ああ…もう……いっちゃう……」

言い終わらない内に、イタチはビクンビクンと体を痙攣させた。

「あ…あ……」

足元がふらつくイタチの体をしっかり支えてやって、サスケはシャワーで鏡の曇りを流す。

あられもない体勢で絶頂に溺れる顔が映された。

「きれいだよ」

ちゅ、と音をたてて耳に口づけられる。

掻きだし切れなかったサスケの精液が自分の中に吸い込まれていくのが分かる。

「シスイさんの子だって言えば大丈夫だよ」

サスケがそう言うと、イタチは弱々しく首を横に振った。

できるはずがない、そんなこと。

避妊もせずにイタチの体を傷つけるようなことをシスイはしない。

これが結実してしまえばいいのに。

逃れようのない既成事実があればと願ってしまう、狡いと分かっていても。

「…オレの子ができたらいいのにな」

「え?」

心の中を読まれたのかと思った。

「姉さんをよその家にやるのが嫌なんだから…それならオレでもいいんだろ?」

鏡の中のサスケが少し照れて目を逸らす。

眩暈がするほど嬉しい。

それが紛れもないイタチの本心。

イタチはすぐに表情を引き締め直して、サスケの手からシャワーをもぎ取る。

「だったらサスケが父さんにそう言ってくれ」

サスケから体を離して、バスタオルで手早く水分を拭き取った。

「…冷たいな」

サスケは拗ねたように唇を尖らせる。

少しだけ笑い合って、今度はしっかり抱き締め合った。












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