stagnant dark


いよいよ日常に支障を来たし始めた。日光に浴びると、皮膚が火傷をするようになってしまった。いくら厚着をしても変わらず、具合もくこぶる悪い。頻繁に吐き気が襲うのだ。任務に行けなかったことも少なくはなかった。

何度も忍を辞めようと思った。だが自分は忍で有名な一族から生まれた者だ、物心付いた頃には手裏剣を手にしていた。忍から離れた生活など想像出来るはずもなかった。

不幸中の幸いか、日が暮れてしまうと何時も通りに身体が動くので、火影に暗部所属を申し出た。

光から遠ざかる生活は、金糸を持つ昔馴染みとの距離をも広げた。最初のうちはナルトも体調の悪い俺を心配してか頻繁に訪れてくれていた。言葉や行動て示したことはないが純粋に嬉しい。ただ今の俺にとって誰でもない、ナルトと共にいる時が地獄だった。全身が熱を帯び、息苦しくなる。全神経がナルトに向かう。気づけば小麦色の首筋を射抜くように見つめているのだ。

ある日、俺は風呂から上がり自室に向かうとベッドにこんもりと山があった。ナルトが待ち疲れて眠ってしまったのだろう。俺の眼下には少し伸びた金糸から覗く、健康そうな首筋があった。同姓の、しかも親しい友のそれは驚くほどに艶かしく俺の目に写る。俺はいつの間にか距離を詰め、鼻先を骨の浮き上がったそれに寄せた。久方ぶりに太陽の香りが鼻腔に広がる。それさえも俺の熱を煽る。形の良い鎖骨を甘噛みし、骨をなぞるように舐め上げる。心地の良い甘い味が舌に染みた。

往復して舌を這わせ、無防備に晒された柔肌を鋭利な犬歯が貫こうとした時、濡れた髪から滴る雫がナルトの円やかな頬に落ちた。

「…ぅん…」

そして至近で開かれるとろんとした美しい碧。

「…サスケ?」

俺は其処で正気を取り戻し、眠ってしまうくらいなら来るなとナルトを無理矢理帰らせた。酷いことを言った自覚はあるが、気が動転していてまともな対応が出来なかった。自分が親友に犯そうとした行動を信じたくはなかったのだ。

その日から、理由をつけて会わないようにしている。時々会っても常以上に素っ気ない態度をとった。

唯一心が落ち着くときがある。やはり任務をこなしている瞬間だ。特に大量の血にまみれているときは熱が納まる。全身から滴り落ちる紅い蜜を舐め、俺は口を歪めた。

今まで感じていた飢餓が薄れた気がした。




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